戦国武将に学ぶ経営のヒント(第65回)経済拠点を重視した織田3代の立地戦略

歴史・名言

2020.10.06

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 NHK大河ドラマ「麒麟がくる」は、10月4日に放送された第26回「三淵の奸計」で織田信長の上洛(じょうらく)という室町幕府の大きな転換点を迎えました。振り返ると、「麒麟がくる」第17回までの美濃編では信長の父である織田信秀が大きな役割を演じていました。今回の大河ドラマは、主人公の明智光秀と信秀・信長の親子をめぐる物語という側面があります。

 信秀は1511年、尾張国(現・愛知県)の勝幡(しょばた)城主、織田信定の長男として生まれました。当時は、清洲織田氏(織田大和守家)が織田の本家で、信秀が生まれた織田家は本家を支える分家に過ぎません。しかも、清洲織田氏が守護代として統治していたのも尾張の一部である下四郡でした。

 1527年に、信秀は信定から家督を相続。織田氏の中で勢力拡大を図ります。さらに1530年代には、信秀は策略を巡らせ、当時、那古野城(後の名古屋城)に拠点を置いていた今川氏豊から城を奪取。居城を那古野城に移します。さらに渡城、末森城と拠点を変えながら勢力を伸ばし、松平清康、今川義元、斎藤道三らと戦いを繰り広げていきます。

 信秀の時代、尾張の名目上の支配者は守護である斯波(しば)氏でした。それに代わり実質的に尾張の一部を支配していたのが清州織田氏。信秀はその分家のトップに過ぎませんでした。その信秀が、なぜこのように勢力を伸ばすことができたのか。その要因の1つに、要衝(ようしょう)の支配があります。

 信秀は氏豊から那古野城を奪うと、那古野城からほど近い熱田を支配しました。現在の熱田は埋め立てにより海から少し離れていますが、当時は伊勢湾に面した海上交通の要衝。伊勢湾貿易で大いに繁栄していました。また、陸路でも京都と東国を結ぶ重要な場所に位置しています。熱田神宮の参拝者も多く、商業も非常に盛んな場所でした。つまり、尾張地域の物流・交通・商業の拠点だったのです。熱田神宮といえば、信長が桶狭間の戦いの際、戦勝祈願を行った場所として記憶している方も多いと思いますが、信長の飛躍のルーツも熱田にあったのです。

 信秀は熱田を手中に収めることで人とモノの流れを押さえるとともに、港の通行税である津料で巨大な富を手にします。信秀は、得た富を中央への寄付に利用し、自らの権威付けに役立てます。1541年には、財政難に陥り式年遷宮ができなくなっていた伊勢神宮に700貫を寄付。1543年には、同じく非常に厳しい財政状況にあった朝廷に対し、内裏(だいり)の修繕費として4000貫を献上しました。これらの功により、信秀は朝廷から三河守に任じられます。また、将軍・義輝に拝謁するなど朝廷と幕府の両方から信任を得て、地位を上げることに成功します。

3代にわたり、経済拠点支配で潤った織田家…

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