戦国武将に学ぶ経営のヒント(第74回)

名言から学ぶ(2)戦国武将の人材論

2021.07.12

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 さまざまな領域でAIが導入されるようになった現代でも、人材は組織の要。人材は組織の命運を左右する重要な存在であるといっても過言ではないでしょう。マネジメントに関わるビジネスパーソンなら、人材に対して一家言を持っているのではないでしょうか。本連載では前回から戦国武将の名言を紹介していますが、今回のテーマは人材。多くの家臣を束ねた戦国武将が人材について語った言葉を見ていきます。

 戦国最強とうたわれる騎馬軍団を率いた武田信玄は、「人は城、人は石垣、人は堀」と言っています。江戸時代には象徴的な意味合いが強くなった城ですが、戦国時代の城は敵から身を守るものでした。城も石垣も堀も、敵の襲来を跳ねのけるという役割を強く持っていたのです。

 しかし信玄は、城や石垣などではなく、人材こそ家を守ってくれるものだと言っています。これを現代に照らし合わせると、組織を守るのはハードではなくソフトだということになるでしょう。

 池田輝政は織田信長、豊臣秀吉に仕え、江戸時代には播磨姫路藩主を務めた武将です。輝政は、次のように述べています。

 「今の世の中は静かであるが、いつどのようなことが起こらぬとも限らない。そのときのために、今以上に欲しいものは有能な武士である。無益の出費を省き、人を多く抱えることが世の楽しみなのだ」

 コスト削減が叫ばれる現在、人を多く抱えるのは現実的ではないかもしれません。しかし、無駄なコストを省いて人を雇えば将来の備えになるというのは、組織における人材の考え方として一聴に値するように思われます。

 信玄や輝政のほかにも、多くの戦国武将が人材の重要性を認めていました。しかし、どんな人材でもいいというわけではありません。

 豊臣秀吉に仕えて賤ヶ岳七本槍の1人となり、のちに伊予松山藩主、陸奥会津藩主を務めた加藤嘉明は、「人におもねり機嫌を取る人間は、一時は抜群の勇気を奮うが、信用ならぬ」と警告を発しています。現代の企業でも上司のご機嫌伺いばかりしている部下がいますが、嘉明はこうした人間は信用ならないと一刀両断しています。

 この言葉にはさらに続きがあります。

 「へつらって上の者に可愛がられ、高禄を得て、後ろ指をさされることぐらい、本人もよく分かっている。分かっていて自らを欺くのは、恥を顧みない者である。恥を顧みない者は主人を殺してでも、自分を利することをやる」

人間観を育むには… 続きを読む

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