日本のアパレルを救うブランドをつくる(第2回)工場をブランドにして、値段も決めてもらう

地域活性化

公開日:2015.10.30

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ライフスタイルアクセント 山田敏夫社長

――日本初のファクトリーブランド専門ECサイト「ファクトリエ」を立ち上げ、いまアパレル業界のみならず各界から大いに注目されるライフスタイルアクセント代表・山田敏夫氏。“日本の工場から、世界一流のブランドを作る”という目標を掲げ、通常は顧客の目には触れないアパレル工場の名前をブランドの一部として表舞台に引っ張りだした。連載2回目はアパレル工場との提携について聞いた。(聞き手はトーマツベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤祐馬氏)

斎藤前回、腕のいい工場が探しようがないと話をうかがいました。では、どうやって工場を見つけたのですか。

山田:一番てっとり早いのは、現地に行って「タウンページ」の上から電話をかけるんです。

斎藤:現地って、どこが現地なのか目当てがあるんですか?

山田:現地は……。これを話すと笑われるんですけど、地理の教科書によく麻の産地とかシルクの産地とかって、地域名が書いてあるじゃないですか。それを目当てに行くんです。例えば織物の産地に愛知県の一宮という地域があって、そこの商工観光課とかで教えてもらったり、タウンページの上から順に電話をかけたりする。

斎藤:本当にそのバイタリティーがすごい……。でも何て尋ねるんですか? 何かすごいブランドものを作っていますかなんて聞けないでしょう、先方だって言えないでしょうし。

山田:電話して、まず怪しい者じゃありませんと。いや、まあ十分に怪しいですけど(笑)。今、最寄りの駅にいまして、工場を訪問しています。いいものを作りたくて、工場さんと一緒に取り組んでいるので、一度工場を見学させてほしいとか言うわけです。もちろん工場側にも守秘義務がありますので断られるケースがほとんどです。住所の近いXX縫製にも行く予定なのでと試しに工場名をあげてみて、ついでにまずはごあいさつだけでもと押しかけてみる。

 実際はアポが取れているわけじゃないんですけど、1つアポが取れたら「テレフォンショッキング」みたいに次を紹介してもらって、1日に10軒くらい回ったりしてました。10軒訪問してもいいところがなかったなんて日は多いですし、そのエリアに工場の数が多ければ泊まって翌日も回ったりしていました。

斎藤:それを1人でやってこられた? 最初、工場の反応はどうでした?

山田:1人です。最初は本当にやばかったですね。人口3万人の町で駅に降りると、もう完全なアウトサイダーなわけです。Wi-Fiも飛んでいない田舎で、インターネット通販をやりたいなんて切り出しても、全然話が通じない。何か実物を見せろと言われても、まだどの工場とも契約していないし、サイトもない。何も見せるものがないんです。

 50軒くらい断られたところで地元の熊本のシャツ工場がOKしてくれた。実はこれはうちの実家が熊本の商店街にある洋服屋だということで、それでなんとか信用してもらえたんです。自分の非力さを痛感しました。…

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斎藤 祐馬

トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長 1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。

※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。

【T】

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