日本のアパレルを救うブランドをつくる(第3回)

斜陽の工場を輝かせたのは、お客の「ありがとう」

2015.11.11

クリップについて

ライフスタイルアクセント 山田敏夫社長

――“日本の工場から、世界一流のブランドを作る”という目標を掲げ、熊本発のベンチャー企業ライフスタイルアクセントが立ち上げた日本初のファクトリーブランド専門ECサイト「ファクトリエ」。そこで販売されている製品は日本各地の工場で作られている。レディースニットを手掛けるのは新潟県のフォルツ、シャツは熊本県のHITOYOSHIなど、今全国14の工場と提携している。連載3回目は山田敏夫社長に地方の工場との向き合い方を語ってもらった。(聞き手はトーマツベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤祐馬氏)

斎藤:工場探しの中で、地方企業であることを意識していたのでしょうか?

山田:東京だから、地方だから、という意識で工場を探しているわけではありません。日本のいいものを世に伝えたい。だから本当にいいものを作る工場を探して、結果的に日本全国の工場とおつきあいさせていただくようになりました。

斎藤:お客さんはどうやって集まっているのですか。

山田:一番大きいのはやはりクチコミですね。宣伝広告は一切していませんので。

斎藤:宣伝広告費はまったくのゼロ?

山田:ゼロですね。その予算があるのなら、新しい工場を探すための交通費に使っています。ただ、個人的に感じているのは、お客さんは本当にいいものはリピートしてくださいますし、周囲にも紹介してくださる。どれだけそのいいものを広めていけるかが大切だと思っています。

 例えばファッション雑誌でファクトリエの服を外国人モデルが着ていてもあまり売れないでしょう。日本の工場が減ってものづくりが衰退していく中で、それをどうにかしたいという思いがある。私たちの場合は、世界のトップブランドに負けないメード・イン・ジャパンを工場から直接安く買える仕組みをつくって、という文脈ありきで理解してもらったほうがいい。だから、口コミとかリピートが圧倒的に多い。

斎藤:なるほど。ところで、いま商品としてはどんなアイテムがあるのですか。

山田:シャツをはじめ、カジュアルシャツやポロシャツなどメンズで10カテゴリーぐらい、レディースで5カテゴリーくらいです。このトレンチコートは英国の有名ブランドのものを作っている工場製なんですが、普通に買うと30万円ぐらいするものです。

 それを9万円で販売したところ、1週間で100着が完売しました。個人的にも10万円近いコートを試着なしで、インターネットで売れるのか半信半疑でしたけど、お客さんたちはファクトリエがやっているんだったら、と信頼してくださった。実際に交換依頼とかもゼロです。

斎藤:それはすごい。今はファクトリエにはどれくらいの数のお客さんがいるのでしょうか。

山田:現在、会員数は1万人くらいです。昨年12月に銀座にショールームをオープンしました。ここも販売はしていなくて、商品に触れてみたいとか、サイズだけは実際に合わせたいという要望にお応えしたものでフィッティングスペースとしての役割を持っています。今だいたい1日10人、月に400人くらいの方がいらっしゃいます。また、最近では伊勢丹に期間限定でコーナーを作ってもらうようになりました。

 これからはリアルにお客さんとつながる場も用意していきたいと思っています。ファクトリエはもともと「日本のアパレル工場と一般の消費者をつなぐ会社」と言ってきたのですが、いま実際にそうした取り組みも行っています。

工場ツアーでお客さんの喜びを実感してもらう… 続きを読む

続きを読むにはログインが必要です。
まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

SID : 00040003

斎藤 祐馬

斎藤 祐馬

トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長 1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。

※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。

関連のある記事

あわせて読みたい記事

連載記事≪日本のアパレルを救うブランドをつくる≫

PAGE TOP

閉じる
会員登録(無料) ここでしか読めないオリジナル記事が満載
閉じる