システム構築のための調整力向上講座(第32回)組織でパワーと影響力を行使するポイント(下)

コミュニケーション

2018.05.17

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誰に言わせるかを考える

 キーパーソンの取り扱い方でいえば、社内やクライアント先で、企画を通したり、交渉したりするとき、「誰に言ってもらうか」も重要です。

 例えば、社内で新商品の開発を提案する場面を考えてみます。現場リーダーのあなたとしては、「このプロジェクトはぜひ進めるべきだ」「今のタイミングで新商品の開発に着手しなければ、先細りになってしまう」と考えているとします。

 しかし、その思いを訴えるだけでは、経営陣は動きません。メリットを訴えても、データを示して説得しようとしても、結局は自分がやりたいから言っているのではないかと思われる可能性すらあります。

 これは、買い物をするときの自分に照らし合わせると分かりやすいでしょう。お店に行って「この商品はいいですよ」「今買わなければ、いつ入るか分かりません」と言われたら、「本当かな?」「うまいこと言っているだけじゃないのか?」と疑ってしまいます。しかし、一緒に買い物に行っている友人が「これいいね」「後で欲しくなったら後悔するよ」「少なくとも値段分の価値はありそうだね」などと言えば、「そうかな」「じゃ、買ってみるかな」と思ってしまうものです。

 ビジネスの場面でも、人間の心理は同じように働きます。企画であっても、状況の報告であっても、その当事者が言うことは、聞く側にとってあまり信用できるものではありません。特に経営層はリスクに敏感です。経営層を動かすためには、自分以外の誰かに、第三者的に意見を言ってもらうようにします。“クチコミ”と同じ働きをするわけです(図6)。

 つまり、考えるべきは「誰に言ってもらうか」です。経営者が耳を傾けるのは誰でしょうか?新商品開発の例でいえば、営業部門のマネジャーかもしれません。営業は実際に顧客との接点を持っていますし、数字ノルマというリスクを背負った発言になるので、経営者からすれば信頼性があると考えられるからです。

 また、大きな権限を持っている人には、多くの場合「懐刀」「番頭」の役割を担っている人がいます。「この人が言うことであればスムーズに事が進む」というような人です。この懐刀から進言してもらえば、持っていきたい方向に進められる可能性が高まります。

 現場リーダーからすれば、正面突破しようとしてダメなら「理解してくれない相手が悪い」「こんなに説明しているのに、なぜ理解できないんだ」「技術のことも知らないくせに」と思いたくなるでしょう。

 しかし、物事は正面突破で進む場合のほうが少ないのです。時には「こいつには頼りたくないな」という相手に頼む必要もあるでしょう。それでも、成果を出すのが現場リーダーの仕事ですから、グッとのみ込むしかありません。そんな現場リーダーの姿を見れば、チームメンバーも「◯◯さんが、あそこまでやってくれている」という気持ちになるものです。

リスクの捉え方の違いを知る…

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執筆=芝本 秀徳/プロセスデザインエージェント代表取締役

プロセスコンサルタント、戦略実行ファシリテーター。品質と納期が絶対の世界に身を置き、ソフトウエアベンダーにおいて大手自動車部品メーカー、大手エレクトロニクスメーカーのソフトウエア開発に携わる。現在は「人と組織の実行品質を高める」 ことを主眼に、PMO構築支援、ベンダーマネジメント支援、戦略構築からプロジェクトのモニタリング、実行までを一貫して支援するファシリテーション型コンサルティングを行う。

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