脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第82回)
ブルーライト対策にはうな重?
公開日:2016.04.05
オーマイグラス 清川忠康社長
インターネットで眼鏡を売る。従来、視力を矯正するための度つき眼鏡を購入するのは、視力検査や鼻あて、テンプルの調整などが必要なためリアル店舗で行うのが一般的だった。しかし、インターネット通販での“試着”を実現し、眼鏡産地である福井県鯖江市に拠点を構え、町の眼鏡店と提携しながら業績を拡大しているのがオーマイグラスだ。「日本の眼鏡の流通構造を改革したい」と話す清川忠康社長にこれからの展望について聞いた(聞き手はトーマツベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤祐馬氏)。
斎藤:清川さんの試みとしてユニークなのが、インターネット通販なのに眼鏡の試着ができるという点かと思います。こんなサービスを始めたきっかけはなんだったのですか?
清川:すごくシンプルなんですけど、これまで眼鏡という商材はインターネットには向いていないと思われていました。眼鏡は実際に掛けてみないと装着感が分からないということと、度数の調整をどうしたらいいんだという、2つの大きな問題があってなかなかインターネットで買うのは難しいと。
そこで我々は送料無料で返品も無料、また5日間5本まで無料で試着できるサービスを始めました。ですからインターネット通販なんですが、店頭で探しているときのように複数から選ぶことができます。それからもう1点、視力検査に関しても、全国1000店舗の眼鏡店と提携していて、近くの店に行けば度数の確認やレンズの処方も受けられます。ネットとリアルが一緒になって、必要なときに補完できる仕組みにしています。
斎藤:なるほど。しかし、そもそもなぜインターネットで眼鏡を売ろうと思われたのですか?
清川:あ、その根本的なところですか(笑)。今回、わざわざ取材にお越しいただいた福井県鯖江市というこの町が非常にユニークでして、日本製の眼鏡の95%がこの小さな町で作られています。
斎藤:95%、すごい! 作っているのは眼鏡のフレームですか。
清川:眼鏡フレームです。メード・イン・ジャパンの眼鏡というと、実はグローバルで有名なブランド、例えば、シャネルであったり、クロムハーツや、ブルガリなどのサングラスってほとんどがメード・イン・ジャパンなんです。この辺の町工場に行くと普通にプラダのものを作っていたりします。ただ、ほかの産業も同じことが起きていますが、最近、日本製の眼鏡というものの需要が縮小してきていて、非常に厳しい状態にあります。
斎藤:もともとは日本製の眼鏡は、ブランド物も含めて強かったと。
清川:強かったんですよ。ただ、これが10年、20年で一気に縮小しました。何分の1かになってしまった。そこで我々が着目したのは、これだけのいいものがあって、しかも円安にもなってきている。日本製の、日本の技術力がもう一度見直される時期に来ているはずだと。そのときに日本だけじゃなく、世界で売っていくためにどうすればいいのかと考えたときにおのずとインターネットにたどり着いたんです。眼鏡って物が小さいですし、世界中に送りやすい。そこで「TYPE」という自社ブランドを立ち上げました。これなんですけど……。
斎藤:これ、触って大丈夫ですか?
清川:もちろんです。これはまだサンプルという水準のものなんですけど。我々が自主企画して作ったブランドのものを、自社のeコマースサイトや代官山や梅田のTSUTAYA、新宿伊勢丹でも販売しています。現在はまだ日本国内でしか販売していないのですが、海外の「monocle magazine」で取り上げられたり、賞もいただいたりして少しずつ知名度が上がってきました。
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斎藤 祐馬
トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長 1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。
※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。
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