注目を集める地方発のベンチャー(第11回)倒産寸前でやっとつかんだ販路は居酒屋

地域活性化

公開日:2017.02.07

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DG TAKANO 高野雅彰社長

 東大阪市にある金属加工ベンチャー、DG TAKANO(2017年に東京都台東区へ本社を移転)の高野雅彰社長は、独学でNC(数値制御)加工機のプログラミング技術などを学び、節水ノズル「Bubble90」を開発した。お披露目の場となったドイツの展示会で世界中の企業から注目を集めるなど、技術は評価されたものの、日本では営業をかけても当初はさっぱり売れなかった。厳しい状況で、販路をどうやって切り開いたのかを高野社長に聞いた。(聞き手は、トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤祐馬氏)

斎藤:節水ノズルは、どこで、どのように発表されたのですか。

高野:「2009年3月にドイツのベルリンで世界最大級の水ビジネスに関する展示会があるから、それに出展してみないか」と、ある人から紹介を受けたんです。その話を聞いた2008年末の時点ではBubble90はまだ完成していなかったのですが、3月までなら間に合うだろうと高をくくっていたんです。ところが、なかなか完成まで至らなくて……。結局完成したのはドイツ行きの飛行機に乗る当日の早朝、出発の3時間前くらい。それで、最初に作った7個を握りしめて飛行機に飛び乗りました。

 でもパンフレットもないし、ポスターもないし、資料も何もない。ただ、ベルリンまでの飛行は13時間ありましたので、機内でパソコンを使ってパンフレットのデザインをゼロから作りました。現地に着いたらすぐ、キンコーズみたいな印刷ができる店に飛び込んでプリントアウトして、なんとか展示会に間に合った。

斎藤:タフですねえ。ドイツでの反響はどうだったのですか。

高野:すごい反響がありました。日本製というだけで話を聞いてくれるし、欧州をはじめ、中東、アフリカの企業からも取引したいと声が掛かった。水道の水圧が高いエリアでも低いエリアでも、硬水でも軟水でも、水質の悪い場所でも世界中どこでも使える製品を作ったので、これは大きな潜在ニーズがあるぞと実感しました。

 日本に帰って、今度は、「”超”モノづくり部品大賞」に出品しました。応募する企業の規模は問いませんが、その性能が世界最高水準で、かつ大学や公的研究機関の客観的なデータや専門家の推薦状がないと応募できないという、すごくハードルが高い賞だったんです。うちの場合は、ある企業がうちの製品を比較調査してくださり、東京大学の先生が推薦状を書いてくださって応募することができた。

 敢闘賞ぐらい取れたらいいなと思って応募したんですけど、大賞になっちゃった。同じ年(09年)に入賞したのはTDKさんにテルモさん、ソニーさん……。

技術だけでは売れない…

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斎藤 祐馬

トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長 1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。

※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。

【T】

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