注目を集める地方発のベンチャー(第17回)「ユーザーイン」の視点で新しい市場を切り開く

地域活性化

2017.08.07

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アイリスオーヤマ 大山健太郎社長(前編)

 1964年、病に倒れた父の後を継ぎ、大阪の小さなプラスチック製品工場の社長となった大山健太郎氏。次々と新しい市場を切り開き、年間1000点もの商品を開発する大手生活用品メーカーへと育て上げた。地方発の小さな企業が大きく成長するための考え方、困難に立ち向かいながらも創業時の熱を持ち続けるための秘訣を聞いた。(聞き手は、トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長、斎藤祐馬氏)

アイリスオーヤマの大山健太郎社長。1945年生まれ。大阪で父が経営していたプラスチック加工の大山ブロー工業(現・アイリスオーヤマ)を19歳で引き継ぐ。71年に株式会社化。89年に本社を仙台市に移転。91年、アイリスオーヤマに社名変更(写真:新関雅士、以下同)

斎藤:アイリスオーヤマは、今までにない商品を作り出し、次々と新しい市場を広げてきました。その歴史は、会社を成長させたいベンチャー経営者にとても刺激になるものだと思います。現在は、宮城県仙台市に本社がありますが、創業は大阪だったんですね。

大山:そうです。19歳の時に父親ががんで亡くなりまして、その時に私が家業を引き継ぎました。父の会社は、東大阪のプラスチック製造業だったのですが、当時は社員5人、年商500万円という本当に小さな下請け工場からのスタートでした。

斎藤:お父さまの背中を見ながら育ち、いつかは自分も家業を継いで経営者になろうと考えていらっしゃったのですか?

大山:いいえ。それまでは会社を継承するつもりなどなく、商売のイロハもまったく分かっていませんでした。ただ、分からないなりにその時に考えたのが、小さくても自社の強みがなければならない、ということです。

 では、当社の強みは何かと、探してみたのですが、強みが何もなかったんです。資金力も技術力も営業力も組織力も人材力も、何もない。ただ1つだけ、当社にも強みがあった。それは私の19歳という若さでした。この若さで「もうからないビジネスをもうかるようにしよう!」と考えました。

斎藤:若さを武器に、何から始められたのでしょうか?

大山:人の2倍、働きました。夜の8時ごろに社員が帰った後、朝の8時まで私が機械を回しました。小さな会社だからそれが可能だったんです。そういうことを半年、1年続けていると、営業力がなくても売れるようになります。お客さまにとっては、注文したらすぐ納品されるところほど、便利な下請けはないわけですから。資金力や営業力を強化する前に受注が増えて、21歳前後には工場を増築しなければならないくらいに大きくなりました。

 ただ、そこまでであれば、一介の下請け企業で終わっていましたが、私にも志があったんです。それは、「自分の作ったものは自分の価格で売りたい」ということです。そのためには、自社商品を作るしかない。でも、自社商品は資金力や技術力、営業力、販売力がなければ作れません。

斎藤:当時は会社も小さかったと思いますが、どうやって自社商品を作ろうと考えたのですか。

大山:私はどうしたらいいだろうと必死で考えました。当時は金属や木、竹の道具をプラスチック製に切り替えたいという需要が多かった。これはビジネスチャンスだと考え、21歳の時に養殖用のブイを自社開発しました。おかげさまでこれがヒットし、そこから水産業だけでなく、農業の田植えに使う育苗箱を木箱からプラスチックに変えるなど、次々と新商品を作り出し、時代の流れに乗って会社はどんどん大きくなっていきました。

 東大阪の工場だけでは製造が追い付かず、宮城県に工場を造ったのは26歳の時です。この時に宮城県を選んだのは、やはり農業向けの製品は東北地方の需要が大きいだろうと判断したからです。

オイルショックで家族同然の社員を解雇…

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斎藤 祐馬

トーマツ ベンチャーサポート事業統括本部長 1983年愛媛県生まれ。慶應義塾大学を卒業後、2006年にトーマツに入社。2010年にトーマツ ベンチャーサポートを事実上立ち上げた。公認会計士でもある。

※トーマツ ベンチャーサポートは、2017年9月1日より「デロイト トーマツ ベンチャーサポート」に社名変更しました。

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