プロ野球に学ぶ、ミスターと呼ばれし者の流儀(第3回)3代目ミスター・田淵幸一に学ぶ「素直さ」の重要性

人材活用

2016.07.27

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 本連載ではこれまで「ミスター・タイガース」初代の藤村富美男氏、2代目の村山実氏を取り上げたが、今回紹介する3代目・田淵幸一氏は“ミスター・タイガース”らしからぬ経歴の持ち主である。

 そもそも田淵氏は東京生まれの東京育ちで、“ミスター・ジャイアンツ”長嶋茂雄氏に憧れて育った。巨人への入団を夢見てドラフトに望んだものの、交渉権を獲得したのは、事前の挨拶もなかった阪神。しかも入団後に残した個人タイトルはホームラン王1回のみ。結局優勝できず、やがてチームから放出された。

 これだけを見れば、誰もこの男がミスター・タイガースだと信じないだろう。しかし田淵氏は、確かにミスター・タイガースとしてファンから愛され続けた。そこには、一流選手では持ち得ない“素直さ”があった。

初代・2代目のミスターには共通点があった

 ミスター・タイガースはファンが与える称号であり、そこに明確な規定はない。しかし、ある時代のただ1人の選手だけに与えられるこの称号は、単にスター選手として大活躍したというだけではない“何か”がある。

 初代の藤村氏、2代目の村山氏には、ミスター・タイガースと呼ばれるにふさわしい4つの共通点があった。

【A】スター選手が自ら望んでタイガースに入団
 甲子園で優勝した藤村氏は、阪神タイガースの前身である、設立されたばかりの大阪タイガースから、熱心な勧誘を受け入団している。また大学で全国制覇を果たした村山氏は、契約金2000万円を提示した巨人を蹴って500万円の阪神に入団した。どちらも自らの意志でタイガースに入団した。

【B】中心選手として活躍しチームを優勝に導く
 藤村氏は、タイガースが最も強かった1リーグ時代、第一次ダイナマイト打線の中心打者として4度の優勝に貢献している。村山氏はエースとして活躍し、2リーグ制で2度、阪神に優勝をもたらした。

【C】現役選手としてタイガース一筋で活躍
 阪神は、チームに貢献したスター選手であっても非情な形でトレードに出してしまうことで有名な球団である。藤村氏の時代は、2リーグ分裂時に次々と主力選手が引き抜かれた。村山氏の時代は、2リーグ制の初優勝に貢献したもう1人の大エース小山投手を“世紀のトレード”で放出している。獲得したのは大毎オリオンズ(正式名称は毎日大映オリオンズ)の山内一弘選手であった。

 そうした主力選手の引き抜きやトレードが行われる中、藤村氏と村山氏の2人は最後まで阪神に残り活躍し続けた。

【D】実力と実績で勝ち取ったミスター・タイガースの称号
 藤村氏は長尺のバット「物干し竿」による豪快なバッティングで、首位打者1回、本塁打王3回、打点王5回と、その猛打を爆発させた。村山氏は、闘志むき出しの「ザトぺック投法」で、最多勝2回、最優秀防御率3回、最多奪三振2回、最高勝率1回、沢村賞3回を獲得。長嶋選手をはじめとした強打者をなぎ倒し、ファンを魅了し続け、ミスター・タイガースとなった。

 ミスター・タイガースとは、このようにチームへ大きな貢献をした選手の代名詞だった。少なくとも、3代目ミスター・タイガースが誕生するまでは。

規格外?の3代目ミスター・タイガース…

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執筆=峯 英一郎studio woofoo

ライター・キャリア&ITコンサルタント。IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行う。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。

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