IT時事ネタキーワード「これが気になる!」(第151回)事実なく「多摩川氾濫」がトレンド入り。SNSを混乱させる「インプレゾンビ」とは?

時事潮流 デジタル化

公開日:2024.10.23

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 近頃よく聞く「インプレゾンビ」という言葉。社会的な動きだけでなく、大きな災害などが発生すると各種のメディアなどで話題にあがるケースも増えてきた。筆者自身、SNSの「X(旧Twitter)」における混乱などをたびたび確認している。今回は、この動きについて少し掘り下げて考えてみたい。

2024年8月Xに「多摩川氾濫」がトレンド入り、だが氾濫事実なし。都副知事が注意喚起

 台風10号の接近に伴い関東でも激しい雨が降っていた2024年8月30日の午前から昼にかけ、Xに「多摩川氾濫」がトレンド入りした。ところが、30日16時時点でも、多摩川が氾濫した事実はなかった。こうした状況を受け、東京都の宮坂学副知事はXを通じて「Xのトレンドに多摩川氾濫が入っており、一部昔の写真が使われているとのこと。「データや映像は公式のサイトから一次情報をご確認ください。リアルタイムで確認可能」と注意喚起を行った(ちなみに「公式のサイト」というのは「東京都 水防災総合情報システム」のことで、東京の各河川の状況が映像とともにリアルタイムで確認できる)。

 これらの偽・誤情報は、最近では災害のたびに話題となる。例えば、2024年の年初に発生した激甚災害の直後には、SNS上で救助を求めたり被害状況を知らせたりする多くの情報が発信された。その一方、事実と異なる情報も拡散され、救命や救助活動に支障が出るなどの悪影響が生じた(SNSにおける偽・誤情報に対し、政府広報オンラインでは「インターネット上の偽情報や誤情報にご注意!」という注意喚起のための記事を公開している。その他、以前紹介した総務省「上手にネットと付き合おう」も参考となる)。

 最近に至っては、連続した地震が起こる中、8月8日に気象庁から南海トラフ地震への警戒を促す「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が出された際、SNSに不安をあおる情報や不審な投稿が相次ぎ、総務省は偽・誤情報への「利用規約を踏まえた適正な対応の実施」をLINEヤフー、Google、メタ、Xの計4社に要請した。

 なお、令和6年版の情報通信白書では、コラムとして「災害時における偽・誤情報への対応」には、偽・誤情報の特徴、総務省および事業者による対応などが詳しく書かれているので、これも参考にするとよいだろう。それにしても、能登半島地震の際などに、善意から誤情報を広めてしまった個人や企業のアカウントもある。特に企業はブランドイメージや信用にも関係するため、情報発信や拡散には慎重な判断が必要だ。

偽・誤情報の横行はXの「インプレゾンビ」が大きな原因の1つ。インプレゾンビとは?…

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執筆=青木 恵美

長野県松本市在住。独学で始めたDTPがきっかけでIT関連の執筆を始める。書籍は「Windows手取り足取りトラブル解決」「自分流ブログ入門」など数十冊。Web媒体はBiz Clip、日経XTECHなど。XTECHの「信州ITラプソディ」は、10年以上にわたって長期連載された人気コラム(バックナンバーあり)。紙媒体は日経PC21、日経パソコン、日本経済新聞など。現在は、日経PC21「青木恵美のIT生活羅針盤」、Biz Clip「IT時事ネタキーワード これが気になる!」「知って得する!話題のトレンドワード」を好評連載中。

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