経営者のための女性力活用塾(第21回)経営者としての心構えと会社内の意識改革

人材活用

公開日:2018.06.13

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ゆとり世代活用と女性力活用

 第21回からは具体的な施策構築の手順や方法について説明をしていきますが、その前に「ゆとり教育世代の戦力化施策構築の手順」について簡単に説明したいと思います。

 下の表は、ゆとり教育世代を教育する際の流れを大まかに3ステップにまとめたものです。人事教育施策の構築を考える際であっても、ゆとり教育世代と女性社員で異なる特徴や注意点を中心に説明します。

 ゆとり教育世代の人事教育を考える場合、これまでは基本的には性別についての区別はなく、教育対象はあくまで「ゆとり教育を受けた世代」という認識でした。

 ゆとり教育世代に対する人事教育策が難しいのは、彼らが「企業や担当者、あるいは旧世代の誰もが、これまで経験したことのない思考や行動力を持った人間・世代」であるため、旧世代が持つ過去のノウハウや経験の蓄積が通用しないという一点であり、それ故に、前例のない事態に頭を抱える人事担当者も多いのだと考えられます。

 一方、女性社員に対する人事教育策はどうでしょうか?当たり前ですが、女性力はゆとり教育世代よりもはるか以前から存在しています。ということは、当然企業はそれまでに培われてきた人事教育のノウハウを有効活用することができるはずであり、未知の闇に手探り状態で挑まざるを得ないゆとり教育世代への人事教育に比べれば、はるかに楽なはずです。

 にもかかわらず、これまで説明してきたように、自身の無知や未熟な法整備によって女性の権利を奪ったり、女性の不満の声を無言の圧力で押しつぶしたりするだけでは飽き足らず、女性に対して新しい差別意識を持ったり実害を与えたりする社員が後を絶たないなど、依然として多くの企業における女性労働者への環境整備や意識改革はお粗末極まりないものになっています。

 繰り返しになりますが、これらの原因は「男性社員の差別意識や偏見」にほかなりません。男性社員の「どうせこの仕事も結婚までの腰掛けなんだろう?」というセリフに代表されるように、過去において、経営者および男性社員の多くはそもそも女性労働者を(恒久的な)労働力と見なしておらず、だからこそ女性社員に特化した人事教育をしてこなかったという歴史があります。

 ましてや「企業の成長のためには女性力が必要不可欠」という意識で人事教育に取り組む企業はごく一部であり、それ故、大半の企業には過去のノウハウや経験値がゆとり教育世代と同じようなレベルでしか蓄積されていないのだと考えられます。

 近年では、大企業や先見の明を持った経営者を中心にこの現状が改善されてきましたが、それでもまだまだ「当たり前」というレベルには到達していません。

 ここで冒頭の「ゆとり教育世代、戦力化のための3ステップ」を見てみましょう。ゆとり教育世代の教育ステップの核となる部分は、「過去のノウハウが通用しない、あるいは過去にノウハウが蓄積されていない」という最大の問題点を解決する「Step1.ゆとり教育世代を理解する」であり、ここの成否が全体の成否を分けると言っても過言ではありません。

 改めてゆとり教育世代の人事教育に関する論点・問題点を要約すると、上の表のようになります。

ゆとり世代と女性労働者との違い…

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執筆=坂本 和弘

1975年栃木県生まれ。経営コンサルタント、経済ジャーナリスト。「社員の世代間ギャップ」「女性社員活用」「ゆとり教育世代教育」等、ジェネレーション&ジェンダー問題を中心に企業の人事・労務問題に取り組む。現場および経営レベル双方の視点での柔軟なコンサルティングを得意とする。

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