ビジネス課題を創造的に解決するデザイン・シンキング(第1回)定番流し台を画期的新製品にしたクリナップの挑戦

スキルアップ

公開日:2017.01.17

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 本連載はデザイン・シンキングもしくはデザイン思考として、知られる手法について具体的な事例を基に解説します。デザイン・シンキングをひと言で言うと、生活者をよく観察し、新たな気付きを得ることです。そして、迷ったら常に生活者の立場に戻って検証していくことです。

 作り手の都合はどうしても仕方のないことですが、それではいつまでも生活者の視点になりません。今までにない気付きさえ分かれば、後は実行するのみ。生活者がどう考えているか、どんなニーズを欲しているか、常に生活者の視点に立つことを忘れないのが、問題解決のソリューションに近づく最初の一歩です。

CASE STUDY 01 クリナップ(前編)
システムキッチン「クリンレディ 流レールシンク」の開発

押し寄せる課題を次々に越え、業界常識を覆す画期的な商品に

 クリナップが2015年7月に販売したシステムキッチン「クリンレディ」の新機能「流レールシンク」(ながれーるしんく)はユーザーでさえも気付かなかったニーズに注目し、ヒット商品になった。

 デザイン・シンキングの手法を生かした開発事例として、クリナップが2015年7月から販売しているシステムキッチン「クリンレディ」の新機能「流レールシンク」を取り上げる。

 主婦モニターの意見を聞いたりフィールド観察(オブザベーション)したりすることでユーザーでさえも気付かなかった新たなニーズに注目し、それを解消するための機能を工夫しただけでなく、新たに考えた形状を実現することは不可能と社内外からの声がありながらも、デザインや生産現場の努力によって最終的に開発に成功し、数々のアワードを受賞してヒット商品になったからである。クリンレディ自体は同社が1983年から手がけてきた主力商品だが、成熟している市場でも今回のような新機能を搭載したことで、さらに市場を深掘りし活性化できた。

 流レールシンクとは文字通り、クリンレディの新しい「シンク」である。野菜や食器を洗うシンク内には、どうしても生ゴミや汚れが広がりやすい。水を使うたびに生ゴミや汚れがシンク内に飛んだり、隅にたまったりする。仕方なく手でかき集めたりして、処理に手間がかかっているのが現状だ。そこで流レールシンクでは特殊な形状を新たにデザインし、シンク内の生ゴミや汚れの広がりを抑えたことで掃除の手間を大きく軽減することができた。

 従来のシンクを見ると、水を流すために奥にある排水口に向かって底部分が斜めに傾いているものがほとんどだろう。しかし水の流れと底部分の傾きが合っていないと水が飛んでしまい、シンク内の生ゴミや汚れがシンク内に散乱してしまう。そこで流レールシンクでは排水口の位置とは反対に、底部分を手前に傾けるようにした。

新製品は標準価格がアップしても、販売は好調…

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執筆=日経デザイン編集部 大山 繁樹

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