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公開日:2018.09.11
第3回では、安心感を与えるポイントとして、「存在を見留める(認める)」ことの重要性を説明しました。そして、その具体的な手段として、声掛けの有効性を紹介しました。今回は、「ありがとうファースト」や「感じさせる」ことの大切さについて解説します。
私が事業部長になった後、マネジャーとして配属された際、直属の部下となった女性社員がいました。彼女と会ったとき、正直、「本当にこの子はおとなし過ぎて営業に向いてないなぁ」と思いました。でも、彼女に興味を持って「この人をどうやって輝かせたらいいかな?」と見ていたら、気が付いたんです。
毎朝早めに出社して、必ず同じ時間に机周りの整理整頓をしている。身だしなみもきちんとしていて、自己管理ができている。遅刻もせず、時間や期日は必ず守ります。それまで、どれだけ営業成績が良くても、勤務態度が悪かったり、欠勤が多かったり、約束を守らなかったりする人はすぐに成績が上がらなくなり、辞めていきました。その瞬間は良くても、基本ができていない人は続かないのです。
だから、どれだけ私の上司たちが「営業成績が上がらない彼女には、もうこの仕事は無理なのではないか」と言っても、「いえ、彼女は絶対に大丈夫です」と伝えていました。
営業の数字は結果。その結果が悪くて、一番気にしているのは彼女自身です。だから、そこをただ責めても何も変わりません。結果には至らないけれど、その経過に目を向け、その人なりの変化や成長を伝えることが大切なのです。
彼女は数字にこそ結び付きませんでしたが、そのための努力は怠っていませんでした。私は結果よりも成果を出そうと努力しているというプロセスに気が付き、「常に真面目に取り組む姿勢を見ているよ」と伝えていたのです。私が声を掛け続けたことで、自信を付けた彼女は、積極的に人に声を掛けられるようになり、やがて立派なマネジャーになりました。
興味を持ち、関わっていかなければ、相手のことは見えてきません。誰もが必ず、キラリと光る「何か」を持っています。それを見つけ、引き出せる人がいいリーダーにもなれると思います。
「ありがとう」という言葉は当たり前のようで、実はきちんと口に出して伝えることができていない人が多いように感じます。でも、自分が言われてうれしいように「ありがとう」は究極の存在承認。ありがとう、と言ってもらうことで、自分は役に立っている、必要とされていると感じることができます。
チームのメンバーにも、何かをしてもらったら必ず「ありがとう」と伝えましょう。私はこれを「ありがとうファースト」と呼んでいます。例えば「ありがとう」が貯金のようにたまっている人間関係の中で、指示やダメ出しをするのと、貯金がまったくない中でそうするのとでは、相手の受け取り方が変わってきます。まずは「この前、○○をやってくれてありがとう。作業がはかどったよ」と、感謝の気持ちを伝えてください。
また、「ありがとう」を伝えるときは、相手の行動に対してではなく、その行動による影響を伝えることで、より感謝の気持ちが伝わりやすくなります。例えば、ただ「資料を作ってくれてありがとう」と言うのではなく、「あなたが作ってくれた分かりやすい資料のおかげで、プレゼンがうまくいったよ」と伝えることで、役に立っていると実感しやすくなるのです。「うれしかった」「助かった」なども影響を伝える言葉です。
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執筆=山﨑 洋実
コミュニケーションコーチ。1971年静岡県生まれ。大手英会話学校勤務時代に、接客&人材育成の楽しさを知る。2000年にコーチングに出合い体系的に学ぶうちに、これまでやっていたことがコーチングだったと知る。出産後、身近なママ友向けに始めた講座「ママのイキイキ応援プログラム」は常に笑いあり、涙ありで心に響き、かつ本質を伝える講座として瞬く間に全国区へ。講座内容が仕事にも役立つことから企業研修、講演会を全国で開催。
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