ケースで学ぶ職場のトラブル防止法(第8回)雇い止めをめぐるトラブル事例

トラブル対応

公開日:2019.01.21

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 厚生労働省発表の「平成26年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、「雇い止め」に関する相談件数は、1万2163件(全体の4.2%)に及んでいます。2005(平成17)年の「雇い止め」に関する相談件数は5877件(全体の2.9%)でしたから、この10年でトラブルが多くなってきている事項の1つであるといってもいいでしょう。

 「雇い止め」とは、期間の定めのある雇用契約において、雇用期間が満了したときに使用者が契約を更新せずに労働者との契約を終了させることをいいます。一般的に、期間の定めのある社員は、期間の定めのない社員と比べて立場が弱い上、労働条件も低く、また精神的にも不安定な立場といわざるを得ません。このような環境・土壌が雇い止めのトラブルを多くしている原因となっています。

 事例1 [労働条件通知書に期間を明記していなかった]
A社は1年計画のプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトを立ち上げるときに採用した契約社員には、この契約の際に「このプロジェクトは1年であるから雇用期間も1年である」旨は伝えました。ところが、いざ雇い止めの通知をすると、1人の契約社員が「そんなことは聞いていない。このまま雇用を継続してもらえないのであれば出るところに出る」と言い出しました。

 労働基準法第15条第1項は、「労働契約の期間に関する事項」を、労働契約を締結する際に必ず明示しなければならない「絶対的明示事項」としています(図表1参照)。

 また、「期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項」についても「絶対的明示事項」です。(図表2参照)

 期間の定めのある労働契約を締結する際には、「契約期間」と「契約更新の有無」、契約の更新があり得る場合は、その「判断基準」について明確にしておきましょう(図表3、図表4参照)。

 なお、「絶対的明示事項」の明示に関しては、書面によって行わなければならず、口頭で行うことはできません。また、使用者が労働条件を明示しないで労働契約を締結した場合であっても、労働契約自体は有効に成立しますが、使用者は30万円以下の罰金刑に処せられます。

その他、雇い止めの事例6つ…

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