アスリートに学ぶビジネス成功への軌跡(第49回)堀江謙一 世界最高齢で単独無寄港太平洋横断

人材活用

公開日:2022.07.12

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I left my heart in San Francisco
high on a hill, it calls to me
「我が心はサンフランシスコに残したまま。小高い丘が私を呼んでいる…」

 歌手のトニー・ベネットの持ち歌として知られる名曲「思い出のサンフランシスコ」のこの歌詞のように、23歳の若き堀江謙一さんの心にもサンフランシスコという美しい街が住み着くことになったのではないだろうか。

 堀江さんが小型ヨット「マーメイド」からサンフランシスコの地を仰ぎ見たのは1962年8月12日。ヨットによる単独無寄港太平洋横断を成功させ、アメリカのサンフランシスコに無事入港した日だ。

 過酷な航海だった。兵庫県西宮を5月12日の夜に出港してから94日間、重度の船酔い、幻覚を見るほどの不安と孤独、そして雨や波の影響で乾ききらない寝袋で寒さに耐えながら短い仮眠をとる日々が続いた。台風が全長5.83mのマーメイドを木の葉のように翻弄し、沈没を覚悟したときもあった。

 無事にアメリカに着いても歓迎されるとは思えなかった。当時は小型船舶による出国は認められていなかった。パスポートを取得するために奔走したが、結局、取得できなかった。アメリカに到着しても不法入国で当局に拘束されて当然だったのだ。

役人や記者と缶ビールで祝杯…

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執筆=藤本 信治(オフィス・グレン)

ライター。

【T】

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