脱IT初心者「社長の疑問・用語解説」(第81回)
成功するポイント?アクセスポイント
公開日:2022.03.29
ICTが発達し、PCやタブレット、スマートフォンで多くの仕事が済む時代になりました。しかし、補足情報の書き入れやアイデアメモの作成などで紙の利便性が発揮される場面も少なくはなく、やはりオフィスのデスクに筆記具と消しゴムは必須です。消しゴムといって思い浮かぶのが、青・白・黒のスリーブ(紙製ケース)でおなじみのトンボ鉛筆「MONO消しゴム」でしょう。1969年に発売されて以来、仕事と勉強の友になり続けているプラスチック消しゴムのロングセラーです。
トンボ鉛筆の創業は1913年。創業者の小川春之助が東京・浅草に小川春之助商店を立ち上げたのが始まりです。当初は文房具類の卸業を行っていましたが、春之助の父親が鉛筆製造工場を持っていたこともあり、鉛筆製造に事業の主軸を移しました。
1928年には、日本初の本格的な製図用鉛筆である「TOMBOW DRAWING PENCILS」を発売。個人経営だった小川春之助商店を1939年に改組し、営業部門をトンボ鉛筆商事株式会社、製造部門を株式会社トンボ鉛筆製作所とした後も、鉛筆の製造を中心に事業を進めます。
戦後の1952年には高級鉛筆「HOMO」、1957年にはシャープペンシル「HOMOホルダー」、1963年には高級製図用鉛筆「MONO」を発表し、筆記具メーカーとしての地位を確かにしました。
ここまでは鉛筆の製造が中心で、消しゴムを手掛けたのは1939年に発売した「鉄兜字消し」くらいのもの。転機は、1967年に訪れます。
この年に創立55周年を迎えたトンボ鉛筆は、記念に最高級鉛筆「MONO100」をリリースしました。MONO100は、芯の粒子が1ミリ四方に100億個レベルという細かさで、濃く滑らかに書けるのが特長。また、消しやすいという利点もありました。この消しやすさをアピールするため、1ダースのケースにプラスチック消しゴムを入れました。
プラスチック消しゴムはおまけとして付けたものでしたが、消費者から「よく消える」との評判を呼びます。そこで、消しゴム単体で発売する運びとなりました。それが、1969年の「MONO消しゴム」です。
MONO消しゴムの発売に当たり、消しゴムを包むスリーブのデザインを社内デザイナーが担当することになりました。消しゴムは、手のひらで隠れるほどサイズが小さなものです。小さい消しゴムのスリーブに印象的なデザインを施すには、どうしたらいいか−−。
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執筆=山本 貴也
出版社勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。投資、ビジネス分野を中心に書籍・雑誌・WEBの編集・執筆を手掛け、「日経マネー」「ロイター.co.jp」などのコンテンツ制作に携わる。書籍はビジネス関連を中心に50冊以上を編集、執筆。
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