部下のやる気に火をつける方法(第28回)

トップダウンでつくるチームの弱点

2021.06.08

クリップについて

 パフォーマンス心理学の最新の知見から、部下をやる気にする方法を紹介する連載。どんなに苦労してもへこたれないリーダーのメンタル講座の4回目です。リーダーの心を支えるのは、自分であり、チームメンバーとなります。1人でできないことをチームでできるようにする。自発的にチームが働きかけることでリーダーの負担も減っていきます。リーダーを支えるチームづくりのポイントを紹介します。

どんなに苦労してもへこたれないリーダーのメンタル講座(4)


やる気のあるチームをつくる

 青山学院大学陸上競技部が、箱根駅伝と大学駅伝の3連覇という史上初の偉業を成し遂げました。このチームを率いたのが原晋監督です。

 この監督はとても分かりやすい信条を大切にしていると聞きました。「つらいときほど明るい顔を」というのです。苦しいとき、つらいときは誰でもあるでしょう。けれど、そのときに監督がめげた顔や怒った顔をすると、選手は萎縮してしまいます。したがってリーダーは、つらいときほど明るい顔が必要だと説いているのです。

 また、選手自身が自らチームを率いるように、面白い指導をしています。トップの記録を出している選手たちと、どうやっても記録の出ない選手たちとをA班・B班に分け、別々の部屋で寝起きさせて、同じチーム内で、練習内容を話し合うミーティングをさせるのです。すると、B班の中でも比較的タイムの良い選手が、遅い選手に自然にアドバイスし、仲間の口から、「では明日、2キロを3本走ってみよう」などと提案が出てくるというのです。そして、B班からA班へ移行していく学生も出てくるとのこと。

 仲間の決めたことですから、お互いそれを守ろうと努力し、励まし合います。監督が上から命令したのではなく、仲間同士がチームを引っ張っていくようになるのです。やる気のあるチームは、上からの命令ではなく、自発的な力でつくるのが原監督のやり方です。

 実はパフォーマンス学の米国における創始者、アーヴィング・ゴッフマン氏も面白いことを言っています。彼はチーム・パフォーマンスを非常に重要視しました。例えば「うちの会社はこんなにもうかっています」と社長が言ったときに、誰かがふと失言をして今年の赤字額を言ってしまったら、社長の信用は失墜します。このチームプレーが集団でのパフォーマンスの一番重要なところで、全員が同じ夢を持ち、同じような前向き発言ができないとチーム効果が上がらないとゴッフマンは1950年代に説いています。

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執筆=佐藤 綾子

執筆=佐藤 綾子

パフォーマンス心理学博士。1969年信州大学教育学部卒業。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科修士課程修了。上智大学大学院博士後期課程満期修了。日本大学藝術学部教授を経て、2017年よりハリウッド大学院大学教授。国際パフォーマンス研究所代表、(一社)パフォーマンス教育協会理事長、「佐藤綾子のパフォーマンス学講座R」主宰。自己表現研究の第一人者として、首相経験者を含む54名の国会議員や累計4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブのスピーチコンサルタントとして信頼あり。「自分を伝える自己表現」をテーマにした著書は191冊、累計321万部。

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