会社は求職者を選考し、有能な人材を雇用します。会社が社員を雇用するということは、労働契約を締結することであり、契約とは、当事者間の「申し込み」と「承諾」という2つの意思表示の合致によって成立するものです。
これを分かりやすく言うと、「この条件で働いてください」という使用者の申し込みに対して、「この条件で働きます」という労働者の承諾で成立するのが、労働契約です。つまり、ここで重要になってくるのが、「この条件=労働条件」です。労働基準法第15条第1項は労働契約の締結の際に労働条件を明示することを義務付けています(図表1)。

なお、使用者が労働者に労働条件を明示しなかった場合であっても、その労働契約自体は有効と判断されますが、使用者は30万円以下の罰金に処せられます。
労働条件の明示事項
労働条件の明示には、労働契約の際に必ず明示しなければならない「絶対的明示事項」と、定めがある場合には明示しなければならない「相対的明示事項」があります(図表2)。

労働条件の明示については、労働契約の締結の際に労働者に対して口頭、または書面で明示するものとされていますが、絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く)は、書面の交付により明示しなければなりません。
有期労働契約の締結
期間の定めのある労働契約を締結する際には、会社は、労働基準法に規定された上記明示事項に加えて、契約の「更新の有無」を明示しなければなりません(図表3)。会社が、有期労働契約を「更新する場合がある」と明示したときは、この有期契約を締結した社員に対して、契約を更新する場合、またはしない場合の判断の基準を明示しなければなりません(図表4、図表5)。


■図表5 労働条件通知書(ダウンロード)
労働条件通知書とその書き方のポイント… 続きを読む
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