オフィスあるある4コマ(第32回)
迷子の社長さん
公開日:2020.12.09
昨今、さまざまな企業で導入が進むテレワークですが、企業側・働き手側でそれぞれにメリットとデメリットが存在します。
テレワークを導入・実施する際には、双方のメリット・デメリットをしっかりと把握することが、テレワーク成功の秘訣といえるでしょう。
そこで今回は、企業・働き手の視点からテレワークのメリット・デメリットを解説するとともに、社会にとってのメリットやテレワークの課題を解決する方法を解説します。
企業にとってのテレワークのメリットとデメリットを見ていきましょう。
<メリット>
企業におけるテレワークの主なメリットは、大きく次の3つが考えられます。
・優秀な人材の確保
従来は、従業員がオフィスに出社するのが一般的でしたが、個々のライフスタイルの違いにより、働きづらさを感じている従業員も少なからず存在していました。
テレワークには時間や場所の制限がなく、柔軟な働き方を実現できる手段でもあるので、仕事と生活の効率を良くしたいと思っている人材の離職防止や、効率の良い働き方を提供する手段として活用できます。
・BCP対策
昨今猛威を振るっている新型コロナウイルスの感染拡大や地震などの通勤が困難になるような災害時でも、被害を最小限にとどめ、事業を継続することは企業における重要課題の一つです。
不測の事態が発生した場合、オフィスに出社できないケースも考えられますが、テレワークなら自宅でも業務を行えるので、BCP(事業継続計画)対策としても有効です。
・オフィスコストの削減
オフィスでは従業員一人ひとりにデスクや椅子、パソコンなどを用意する他、賃料などのコストが発生します。
しかし、テレワークなら働く場所にとらわれないのでオフィスを必要とせず、コストの削減効果が期待できます。その他にも、プリンターや紙代などのコストを削減できます。
<デメリット>
企業におけるテレワークの主なデメリットには、次の2点が考えられます。
・セキュリティ面の問題
テレワークでは、その多くの業務をインターネットを通じて行い、社内ネットワークへの接続もインターネットを経由するケースが多いです。そのために、セキュリティ面は一層注意深くチェック・対策を施す必要があります。
その他にも、端末の管理やマルウエアへの感染、不正アクセスによる情報漏えいなどのリスクにもしっかりと対応しておかなければなりません。
このように、セキュリティ面のリスクが高まる点や、セキュリティ対策の強化を図らなければならない点が、テレワークのデメリットとして挙げられるでしょう。
・労務管理体制の変更
テレワークでは、実際に働いている様子を確認できない場合がほとんどです。そのため、実働時間をどのように管理するのか、事前のルール化が必要になります。
労務管理体制の見直しや変更、労務管理のためのツールの導入・運用など、テレワークの運用が落ち着くまで、労務管理にかかる業務負荷が増えることもデメリットになります。
働き手・従業員側のテレワークのメリット・デメリットについて、それぞれ3つずつご紹介します。
<メリット>
・ワークライフバランスの向上
仕事と生活の調和を意味するワークライフバランスは、2019年から施行されている働き方改革関連法においても欠かせないキーワードの一つです。
テレワークによって通勤時間がなくなると、今まで以上にプライベートな時間を趣味に費やしたり、家族と過ごしたりできるようになり、仕事と生活の調和が図れます。
テレワークによって多様な働き方を選択できるので、ワークライフバランスが向上し、一人ひとりが希望する生き方を選択できる可能性が高まります。
・仕事の効率化
効率的なテレワークを実現するには、ペーパーレスに対応する必要があります。紙ベースでのやり取りはオンライン上のやり取りと比較しても効率が悪く、テレワークと併せてペーパーレス化を進めると仕事も効率的になります。会議などもWeb会議に切り替えれば時間の短縮にもつながり、仕事の効率化の実現が期待できます。
・育児や介護との両立
ワークライフバランスの向上にも関係する領域になります。育児や介護と仕事を両立したい人は多いものの、従来の働き方ではそれらが実現できなかった企業・人も多いのではないでしょうか。テレワークは柔軟な働き方ができるため、育児や介護と仕事の両立が期待できます。
<デメリット>
・運動不足になりやすい
テレワークは通勤が省かれるので、今までよりも運動不足に陥りやすくなります。
外出の機会減で運動量が減り、健康状態に影響を及ぼす可能性もあります。テレワークを実施する際は、運動不足を解消する方法を考えておく必要があります。
・ICTを活用した仕事に限られる
テレワークはICT(情報通信技術)を活用した働き方なので、テレワークの活用がICTだけで完結する仕事に限られてしまう点がデメリットとなります。
医療現場をはじめ運輸業や小売業など、現地での活動がメインになる仕事ではテレワークの導入が難しいでしょう。
企業によっては部署単位でテレワークの導入可否が分かれることも考えられます。
・自分で時間管理が必要
柔軟な働き方ができるようになると、従来以上に自分自身で時間管理をしなければならなくなります。自宅でテレワークをすると、コミュニケーションにかかる時間の増加や、成果物を残さなければならない不安などから、長時間労働が発生するケースもあります。
効率的に業務を行うためにも、また長時間労働によって体調を崩さないためにも、今まで以上に時間管理が大切になります。
テレワークの導入は、企業・働き手だけでなく、社会全体にとってもメリットをもたらします。社会にとってのテレワークの主なメリットとしては、大きく次の4つが考えられます。
・雇用創出
・少子化による労働人口減少の緩和
・環境負荷を軽減
・地域活性化
現代の日本社会は極端に少子高齢化が進み、労働人口が減少しています。他方では、出産・育児・介護などや、身体的な理由で働きたくても働けない人もいます。
これらの問題に対してもテレワークの導入が進むことで、働く場所や時間を選ばない柔軟な働き方を実現でき、雇用の創出や少子高齢化による労働人口減少の緩和が期待されます。
また、テレワークをオフィスで働く場合と比較すると、1人当たりの電力消費量が14%削減されるとの試算もあります。環境負荷の軽減効果も見込めます。
総務省が推進する「ふるさとテレワーク」のように、地方で暮らしながら「都心部と同じ仕事」が実現すれば、地域活性化の効果も期待できます。
テレワークの導入はさまざまな企業で進められていますが、テレワークにはデメリットもあります。ここでは、テレワークの代表的な課題とその解決策について見ていきましょう。
<セキュリティ面の問題→対策を実施する>
テレワークを実施する以上、セキュリティリスクは避けて通れない問題です。テレワークの導入に当たっては、VPNによる通信の暗号化など、セキュリティ対策を実施することが大切です。
また、テレワークを行う従業員それぞれがセキュリティ意識を持つことも重要です。セキュリティを考慮した施策やシステムの導入だけではなく、従業員へのセキュリティ教育も含めた対策を行いましょう。
<組織力の低下→コミュニケーションツールの導入>
テレワークでは、コミュニケーションを取りづらくなる可能性があり、コミュニケーション不足による組織力の低下が懸念されます。
テレワークは個人で完結できる業務が多くなりますが、チームとして生産性を高めるには組織力の低下を防ぎ、綿密なコミュニケーションを取る手段を用意しなければなりません。
ビジネスチャットツールやWeb会議システムなどのコミュニケーションツールを導入し、オフィスで働くときと同等以上のコミュニケーション手段の用意が重要です。
<労務管理体制の問題→評価制度の見直し>
テレワークは従来の働き方とは大きく異なります。評価においては従来の制度をそのまま適用するのではなく、企業と従業員双方にとって納得のできる制度を新たに作成したほうがいいでしょう。
日本でのテレワークは過渡期にあります。評価に不安を感じる従業員も多くいるかもしれません。従業員の不安を払拭するうえでも、新たな評価制度が必要となってきます。
テレワークは企業・働き手だけでなく、社会にとっても大きなメリットをもたらす新しい働き方です。しかし、デメリットがないわけではなく、メリット・デメリットの両方をしっかりと理解したうえでの導入が望ましいです。
テレワークを導入するに当たっては、社内ネットワークのセキュリティ強化、コミュニケーション手段の整備、評価制度の見直しなど、さまざまな課題を解決しながら、導入・運用を進めていく必要があります。
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※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=太田 勇輔
ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト保有。インフラエンジニアとして、官公庁や銀行などのシステム更改をメインに10年従事した後、IT関連ライターとして活動中。プログラミング、ネットワーク、セキュリティなどの解説記事を中心に執筆している。
【M】
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