健康が一番!心と体の守り方、鍛え方(第11回)

リラックス力アップ法

2021.03.02

クリップについて

 心と体の両面で健康を保ち、生産性を上げる方法を紹介する連載の第11回はリラックス力のアップ方法を採り上げています。注目したいのは自律神経の取り扱い方です。むやみに休むのではなく、いいタイミングで効果的に休むことでオンとオフのメリハリが利いたリラックスが可能になると説明します。

 リラックスしているとき、身体的には自律神経が副交感神経優位の状態にあります。自律神経は、意志とは無関係に作用する神経です。消化器や呼吸器、心臓など、自分の意志とは関係なく動いている器官の動きをコントロールしています。

 緊張状態のときは交感神経が優位になり、血圧が上がり、心臓の鼓動が早まり、リラックスしているときは副交感神経が優位になり、血圧は低く、心拍数は少なくなり、消化吸収が進みます。リラックス力はいろいろな場面で重要です。

 1つは緊張するシーン。仕事での重要なプレゼンテーションや発表の場で、緊張し過ぎると、スムーズに話せなかったり、ミスを犯したりしがちです。リラックスすれば、全体を見渡して、落ち着いてプレゼンテーションなどを行えます。

 もう1つは睡眠や食事などの休憩シーン。緊張したままでは眠りに入れず、熟睡できません。食事もきちんと消化できません。リラックスしなければ、ちゃんと休むことができません。ストレスによって緊張状態が続いていると、血圧が上がり、胃腸の調子が落ち、頭痛や肩こり、腰痛などが起こります。

 さらに続くと、交感神経優位から副交感神経優位への切り替えが難しくなり、緊張しっ放しになります。現代のストレス社会においては、緊張と緩和の切り替えをスムーズに行って、きちんとリラックスするためのリラックス力が重要です。

リラックスは頭で行うより、体で誘導

 緊張している状態で、「力を抜こう」とか「落ち着こう」とか、頭で考えても、緊張を解いてリラックスするのは無理です。

 先に説明したように、緊張とリラックスは、自分の意志とは無関係に作用する自律神経がコントロールしています。従って、意志の力でリラックスはできません。しかし、意志の力で体を動かすことにより、体をリラックスする方向へ導くことはできます。

 大事な会議や式典などに際して、今すぐに緊張をほぐして、リラックスしたいときには、筋肉の力を緩ませる筋弛緩(しかん)法を実行しましょう。筋弛緩法はイギリスの精神生理学者が開発したリラックスするための方法です。人は力を抜こうとしてもなかなか力を抜けません。しかし、力を入れて、いったん筋肉を緊張させることにより、緊張とは反対の状態に導けます。

 体のそれぞれの部位の筋肉を10秒間緊張させた後、ストンと一気に緩め、緩めた状態を20秒。椅子に座って、各部位1回ずつ行います。ぎゅっと力を入れますが、筋肉が痛くなるまで力を入れたら入れ過ぎです。7割から8割の力で行いましょう。緊張させているときも、緩めたときも、その部分のその状態に神経を向けて、よく感覚を味わいましょう。

 まずは手。腿(もも)の上で、親指を中に入れて、ぎゅっと握りこぶしを作ります。10秒後、一気に力を抜いて、20秒その状態を味わいます。

 次は腕。軽く拳を握り、脇を締めて、拳を肩に近づけ、上腕全体に力を入れます。10秒後から後は手と同様に。

 そして肩。両肩を上げて、肩に力を入れます。後は同様。

 首は右側に向けて、力を入れます。後は同様。左側も同様に。

 足に力を入れるときは、腰を痛めないよう、椅子の背もたれに背中をしっかりと付けます。膝を伸ばして、爪先はできるだけ胸のほうに向けて立てて、足全体に力を入れます。後は同様。

 最後に拳を握り、拳を肩に近づけ、両肩を上げて、膝を伸ばして、爪先を手前に向けて、手、腕、肩、足すべてに力を入れます。後は同様に、10秒後、一気に力を抜いて、20秒間その状態を味わいます。

 特別にリラックスしたいシーンだけでなく、毎日、この筋弛緩法を行うと、だんだんとリラックス力が上がります。

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執筆=森田 慶子

執筆=森田 慶子

医療ライター。1996年から、主に医師をはじめとする医療関係者向けの専門的な記事を執筆。2005年から患者向けや一般向けの医療や健康に関する記事も執筆。特に糖尿病や高血圧といった生活習慣病と、睡眠や認知症、うつ病などの精神科領域を専門とする。

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