MIT×デロイトに学ぶ DX経営戦略(第12回)アジャイル方法論で組織する

経営全般 デジタル化

2022.06.01

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「ウォーターホール」に取って代わって

 2001年初頭、17のソフトウエア開発会社がユタ州のスノーバードに集まり、共有するアイデアやソフトウエア開発に関するさまざまなアプローチについて話し合った。その議論の結果は、「アジャイルソフトウエア開発宣言」としてまとめられた。これは、プロセスやツールよりも個人と対話を、包括的なドキュメントよりも動くソフトウエアを、契約交渉よりも顧客との協調を、計画に従うことよりも変化への対応をという、4つの価値観を中心に構築されている。

 「アジャイル」とは、従来の「ウォーターフォール」アプローチの代わりに素早い反復的スプリントを使う、ソフトウエア開発のアプローチを表す。「ウォーターフォール」アプローチとは、いくつか別個のフェーズ――要求、分析、設計、コーディング、テスト、動作――を通して連続して動くアプローチだ。ウォーターフォールに関する大きな問題は、求められるものをあらかじめよく理解しないと、完成した製品はユーザーのニーズを満たさないものになるということだ。この手法は、現代世界のように目まぐるしく変化する環境にあまり適していない。

 アジャイルのコンセプトは、もはやソフトウエア開発にとどまらない。わたしたちの調査対象者は、自分たちの組織は変化が遅過ぎる、現状に甘んじてのうのうとしている、テクノロジーがもたらした競争環境の中で変化に素早く適応できるほど柔軟な文化がない、と回答した。

アジャイル開発の原則

 アジャイル方法論は結果の変動性を高めようとするもので、“最適な”アプローチが必ずしもはっきりしない場合に役立つ。この手法は、クロスファンクショナルチームを機能させるには、有益なアプローチである。アジャイル手法は、テストと学習という、開発に向けた反復アプローチを採用し、従来の開発方法論である入念なプランニングなしで済ませる。目標は実用最小限の製品に到達することで、これならば、迅速にリリースするたびに継続的に改善を加えながら、顧客と繰り返しやり取りができる。

 アジャイルソフトウエアの提唱者たちは、開発プロセスのいくつかの主要原則を強調している。

 第一に、カギとなる要因の中でも、コラボレーションとコミュニケーションを取り上げている。個人とインタラクションへのフォーカス、および顧客とのコラボレーションは、開発プロジェクトの全ステークホルダーの間に強力なコミュニケーションが必要だという考えに基づいている。こうした開けたコミュニケーションは、プロセスが期待や要求と異なる場合に、それを特定し明確にする際に役立つ。

 第二に、製品開発のプロセスにフォーカスしている。動作するソフトウエアを提供し変化に対応することは、反復型の製品開発と密接に関連して起きる。チームは機能するソフトウエア製品を開発し、ユーザーは、主な長所、短所、欠けている特徴を見つけ出す。これが、次の反復開発へのフィードバックとなる。各反復開発は、製品の次のバージョンがめざす目標に近づいているかどうか試す実験と見なせる。

 アジャイルの原則は、組織のデジタルトランスフォーメーションに対する有効なアプローチである。いかに対応すべきか長いロードマップを練るのではなく、チームは短期の構想を作り、企業とプロセスに小規模の変化を生み出す。次に、介入によってめざす目標がどの程度達成されるか、チームが評価する。アジャイルチームは、デジタルトランスフォーメーションのために大掛かりな計画を立てたりはしない。彼らは一度に小さなアクションを取り、その効果を評価し、もう一度アクションに移す。

 経営者側は、組織の戦略的方向性についてチームと効率的にコミュニケーションを取り、同時にチームの成果に注意を払い、それを広めなくてはならない。そうすれば、彼らは団結して有意義な変化を起こせる。次に取るべきステップをチームにそのまま伝えるのではなく、双方向のコミュニケーションを継続するプロセスが、プランニングに勝るアクションを、そして現在の結果に基づく今後のアクションを可能にする。

クロスファンクショナルチームをめざして…

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訳者=庭田 よう子

翻訳家。慶應義塾大学文学部卒業。おもな訳書に『目に見えない傷』(みすず書房)、『ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番』(みすず書房)など。

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