外国人の活用で人手不足に克つ(第4回)

改正出入国法で介護分野の即戦力を受け入れ

2021.12.24

クリップについて

 外国人に期待する介護分野の人材供給。しかし、従来は日本で介護について学び、資格を取得する必要があり活用のハードルはかなり高くなっていました。しかし、2019年の入管法改正によって即戦力の介護人材も受け入れる道が開かれました。今後、ますます必要になる介護分野の人材確保の手段として、外国人活用を積極的に進めることが今後の日本経済にとっても大きな意味を持つでしょう。

 在留資格「介護」というのは、「本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が、介護または介護の指導を行う業務に従事する活動」に認められる資格であり、具体的には、介護福祉士養成施設を卒業し、「介護福祉士」の資格を取得した者が、日本の介護施設などと雇用契約を結んだ上で、取得するものです。

「介護」の在留資格のハードルは高い

 そのため、一度も日本に来たことがないけれども、介護関連の仕事をしていた人が、「介護」の在留資格の申請を出したところで、認められるというわけではないのです。一方、日本にまず留学に来て、学校に通って生活を成り立たせるなどというのは、経済的にとても大変なことです。

 日本の福祉専門学校に入るとしても、その前提として、日本語学校にも行く必要があります。もちろん、海外のお金持ちの子女が留学するというケースもあるでしょうが、そういう人が介護の世界で、その後も働いてくれるのかというと極めて疑問です。

 とある自治体では、介護就業意欲がある外国人が在留資格「介護」を取得することができるモデルケースとして、次の方法を確立しようとしています。日本に在留資格「留学」で来ている学生に、学費・生活費はアルバイトなど(原則週28時間)で稼いでもらい、さらには、事業主が貸付制度などを設けて、卒業後、何年間か仕事をした場合には、その返還を猶予するというモデルです。

 それでも、いろいろ問題はあります。例えば、事業主は将来、自己の施設で働いてくれると信じて貸し付けたものの、何のかんのと理由をつけて、お宅の事業所では働きたくないと外国人が言い出した場合、「それでは、約束が違う。絶対に辞めさせない。辞めるのなら、即刻、全額返せ」というトラブルになることは必定です。かといって、我が国の労働基準法上、そのような返還約束は、違約金による不当な拘束と判断される恐れが大です。

入管法の改正だけではなくサポートも必要

 ここまで述べてきたように、EPA、在留資格「介護」、技能実習(介護)、どれも介護業界の人手不足に対して外国人労働者招へいに寄与するような決定的な対策とまでは言い切れません。そこで、前にも説明した通り、「人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)の1つとして、「介護分野」が認められることになりました。

 受け入れの趣旨としても、「介護分野において深刻化する人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした業務に即戦力として従事する外国人を受け入れることで、本分野の存続・発展を図り、もって我が国の経済・社会基盤の持続可能性を維持する」と言明されています。

 介護業界の人手不足は、単なる民間の経済問題にとどまりません。介護保険制度の枠組みに従って適切な介護がなされなければ、我が国の社会保障制度そのものが機能しなくなります。介護のために本来の仕事を続けられないなどの家族が出てくることは、国家経済にとって損失ともいえるのです。

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執筆=小澤 和彦

弁護士法人 後藤東京多摩本川越法律事務所 弁護士。第二東京弁護士会の西東京市男女共同参画推進委員会委員長。業務分野は企業法務、知的財産など。主な著作として「相続戦争を勝ち抜く85のルール―相続財産の分配で、モメそうなときに読む本」(九天社)など。

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