インターネットは日常生活のみならず、企業にとっても欠かせない存在です。社内で独自のネットワークを構築する企業だけでなく、工場などでも製造機器をネットワークで接続して管理することで、生産効率の向上をめざす事例が増えています。
そんなネットワークですが、使い方次第では問題が発生する場合があります。一例として挙げられるのが、ネットワークの輻輳(ふくそう)です。ここでは、輻輳の意味や発生する原因、防ぐ方法などを紹介します。
ネットワークの輻輳とは
輻輳とは、1つの場所にさまざまなものが集中する状態のことです。通信の世界では、インターネットや電話の回線が混雑することを、輻輳と呼んでいます。インターネットや電話の回線が輻輳すると、通信の速度が低下し、通信のシステム自体がダウンすることも起こり得ます。
例えば電話回線では、人気ライブチケットの電話予約開始時刻に、チケットサービスの電話番号にアクセスが集中して輻輳が発生するケースがあります。また、災害時の安否確認などでは電話回線の利用者が急増し、輻輳が発生することもあります。
インターネット回線も電話回線と同様に、トラフィックが一時的に大量発生すると、輻輳が起こります。結果として通信速度が低下し、Webサービスへの接続が不可能になることもあります。複数人でWeb会議をしている際、動画が停止したり音声が途切れたりすることもあるでしょう。それらも、社内ネットワークの輻輳が原因の場合があります。
ネットワーク回線の輻輳はなぜ起きるのか…
ネットワーク回線の輻輳が起きる原因はさまざまです。よくあるケースが、複数のユーザーが通常以上の通信回線を利用する場合です。IT管理者による社内の全PCへのアップデートファイル適用や、全従業員が集まるWeb会議などはその一例です。要因が明らかな場合だけではなく、DDoS攻撃などのサイバー攻撃が発生している可能性もありますので、情報セキュリティ担当者に相談するとよいでしょう。
別のケースとして、自社で利用しているネットワーク帯域が利用状況に合っていない場合も挙げられます。
ネットワーク帯域とは、一定の時間内にどれだけのパケット(通信のためにデータを分割した状態のもの)を処理できるかを示します。ネットワーク帯域が狭く、頻繁に輻輳が発生する場合は自社のネットワーク構成を見直す必要があります。
プロバイダーや回線を共用型(1つの通信回線を複数社で利用する形式)で契約していると、他社のトラフィックが要因でネットワーク帯域が狭くなる場合もあります。その際は、専用型(1つの通信回線を1社で利用する形式)にすれば、解消する可能性があります。また、自社のインターネット接続方式がPPPoEであった場合、より速いインターネット環境を実現するIPoEに変更することでも輻輳の回避が期待できます。
ネットワーク機器の要因も考えられます。例えば、多くの業務用ルーターには、最大同時接続可能数が定められています。最大同時接続可能数を超えて接続した場合、輻輳が起きる可能性は高まります。
輻輳を避けるには
輻輳を避ける方法は、前述のネットワーク構成の見直し以外にもいくつか考えられます。その1つが、ネットワーク管理者によるネットワークトラフィックの監視です。ツールを利用すれば、問題が発生したらアラートを出す機能や、グラフィカルなネットワークレポートを作成する機能を有するものも用意されているので、積極的に導入を検討するとよいでしょう。
ネットワーク管理者がいない場合、外部企業のサービスを利用するのも1つの方法です。例えば、NTT西日本の「フレッツ・SDx」であれば、拠点間を含めた通信ネットワークを監視することが可能です。よってネットワーク管理者がいない支店のネットワーク構成や設定、トラフィック監視が本社で一元管理できます。管理・運用業務までをNTT西日本に依頼することも可能なので、業務負担の軽減にも繋がるでしょう。別途契約が必要となるフレッツ・v6オプションを利用するとIPoEが利用できるようになるため、快適なネットワーク環境が期待できます。
まとめ
社内ネットワークに輻輳が発生すると、業務効率の低下は免れません。特に近年はSaaSをはじめとしたクラウドサービスの浸透により、トラフィック量のさらなる増加が予想されます。もし自社でネットワークの管理や運用が難しい場合は、外部企業のサービスを活用するとよいでしょう。
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