ケーススタディ シゴトに生かすDX(第2回)業務データや顧客情報などを共有し、付加価値向上を図る

IT・テクノロジー デジタル化

公開日:2024.07.31

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 変化の激しい今の時代に、事業を継続的に拡大し続けるためには、業務遂行や意思決定のスピードを高めることが重要なポイントになる。過去の成功体験にのっとって経営や業務を続けているだけでは、急激なビジネス変化に対応できずに自社の強みを損ねてしまうこともある。現代の企業であれば、業務の状況や顧客の情報など、多様なデータが蓄積されている。基礎的なデータをエキスパートが属人的に扱うだけでなく、経営者から現場まで必要に応じて活用できるようにすることは、事業をデジタル変革するための土台になる。DXを推進して事業を継続、拡大するには情報を共有できる基盤が不可欠なのだ。

業務に必要な書類や情報はITを使って共有すると連携も容易に

 情報共有と言っても、今は令和の時代。「ファイルに丁寧にまとめた紙の書類を誰もが扱えるから大丈夫」といった話ではない。すでに多くの書類はパソコンなどのデジタルツールで作成、保管されている。そうした書類が個人のパソコンに保管されていて、必要なときにプリントアウトして使うという運用も、時代に即していない。情報を共有して活用するためには、従業員が安全にアクセスできるような環境が必要になる。

 また、これまでは紙で保管していた書類も、デジタル化をしてストレージに保管すれば、情報の共有性や流通性が格段に高まる。帳票類をスキャンしてPDFデータにし、ストレージに適切に分類すれば、紙のファイルは不要になり、従業員が自由にアクセスできるようになる。さらに、もう一歩デジタル化を進めて、AIによる文字の高精度な読み取りが可能なAI OCRサービスなどを活用すれば、紙への印字や手書き文字だったアナログ情報がデジタルデータとして活用可能になる。このようにITの力を活用することで情報の流通が促され、風通しの良い企業文化への転換にもつながるだろう。

 その上、事業継続計画(BCP)の観点からも、情報をデジタルデータで物理的に社屋と離れた場所に格納しておくことのメリットがある。コロナ禍で経験したように、誰もがいつ出社できなくなるかはわからない世の中だけに、自宅などオフィス以外の場所からも必要な書類は参照できないと、業務継続が難しくなるケースもあり得る。クラウドストレージに保管しているデータならば、場所を問わずにパソコンやスマートフォンから参照やアクセスが可能だ。火災や水害などでオフィスのIT機器が使えなくなってしまった際にも、クラウドストレージにデータが保管してあれば業務継続の助けになる。

情報共有を推進してDXを成功に導いた事例をチェック

ケーススタディー(1):A社の場合(建設業)

 建設業を営むA社では、基幹データシステムのクラウド化による情報共有基盤の構築によって顧客情報の一元管理を通じた迅速な状況把握、柔軟な対応を実現した。また、クラウド上にデータを集約することで、社員全体での情報の入力、共有、活用が可能になった。当初はDX推進に対して従業員があまり協力的ではなかったが、DXの説明会や勉強会の開催、社内でのDX発表会などにより情報の横展開を進めることで推進につなげた。

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執筆=岩元 直久

【MT】

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