ビジネスWi-Fiで会社改造(第41回)
ビジネスWi-Fiでイベントを盛り上げよう
公開日:2024.08.30
定型業務を続けていると、人間は意図しない形でミスを犯すことがある。どんなに気を付けていても、慣れたり疲れたりすると集中力が落ちるためだ。また、ある業務が特定の人にしか処理できなくなると属人化が起きることもある。これが専門性の高いスキルを要する業務だとなおさら。その人がいないと「業務フローが進まない」「作業の仕方に問題がありそうでも“部外者”から指摘がしにくくなる」などが起こる。企業内で、今はうまく回っていると思う業務であっても、こうしたミスや属人化のリスクは避けられない。
社内の業務改善はDXの成果の1つだ。デジタルツールを定型業務で上手に活用すればミスが少なくなり品質向上にも寄与する。また、属人化しがちな業務も、内容を棚卸ししてデジタルツールの活用を推進すれば、効率化・自動化できる可能性は高い。デジタルツールの上手な活用は、業務効率化などを実現するための方策として忘れてはならない視点である。
実際、従来ならば人手で処理することが不可欠だった作業が、昨今のデジタルツールの高度化・高性能化で自動化しやすくなっている。代表例としては、紙の書類からシステムへの転記作業や複数のシステム間のデータ連係や移行作業などが考えられる。これまで、多くの企業では各種申込書や発注書、請求書などは、郵送やファクシミリで送信された書面などを原本としていた。業務システムはデジタル化しても、書面のデジタル化には人手が必要だった。特に、「手書き」の書面判別は“特殊技能”を要することもあり、「◯◯工業さんの請求書は、△□さんでないと読めない」といった形で属人化の原因になることもしばしばだった。
また、売上管理システムから必要な情報を抜き出して週次、月次の販売管理リポートを作る作業も慣れと経験が必要になる。経営陣が意思決定するためのリポート作成が、特定人材の忙しさに左右される状況も避けたい。例えば、書面をデジタル化する業務は、読み取り精度が高まったAI OCRの活用が有効だ。書面をスキャンしたデータを用意すれば、自動的に文字を読み取りデジタルデータに変換できる。そして、AIの力を借りることで手書きのクセ字などの認識率もぐんと向上して、使い勝手も良くなってきた。その他、パソコン上で異なるシステムやソフトの間のデータ連係や転記はRPAに任せることもできる。定型的な処理であれば、ミスも疲れもなくRPAが淡々と繰り返して作業を進めことができる。
DXといっても、大掛かりな投資をして社内システムを大改変するような必要はない。目先で業務に非効率な点を洗い出し、その業務に適したデジタルツールを当てはめていけば、第一歩を踏み出せる。データやプロセスがデジタル化されていれば、業務を標準化したり、他のシステムと連携したりといった次のステップが容易になるメリットもある。
ケーススタディー(1):A社の場合(運輸業)
人材不足や物流の2024年問題に直面する運輸業。A社でもこうした課題とともに、企業の成長にはDXが不可欠と判断し、取り組みを進めてきた。「物流×テクノロジー」で物流イノベーションを創出することを目的した取り組みである。業務のデジタル化やデータ連係による業務プロセスの改善の一環として、A社はAI OCRを利用した受注入力システムを導入した。
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執筆=岩元 直久
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