外国人の活用で人手不足に克つ(第5回)コロナ後は宿泊施設でも外国人活用が必要に

人手不足対策 法・制度対応 人材活用

2022.01.07

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 観光立国をめざした政府の後押しもあり、訪日外国人旅行者は2019年まで急増を続けてきました。ただ、それによって宿泊施設の人手不足という問題も浮上していました。その後、新型コロナウイルスの感染拡大により、訪日外国人旅行者は激減しましたが、収束後の観光客増加をにらんで人手の確保を考える必要があります。その有力な手段が外国人労働者の積極的な活用です。

 日本政府観光局のデータによると、新型コロナ流行前の2019年、訪日外国人旅行者数は3188万人でした。2009年は679万人でしたから、わずか10年間で4.7倍に増えたことになります。ただ残念ながら、新型コロナの流行によって2020年は412万人に激減。2021年はさらに減少し、2019年と比較すると約99%減の30万人以下になりそうです。

 新型コロナ流行前は、年々、多くの外国人が日本を訪れて、どんどん宿泊客が増加するようになり、宿泊業(ホテル業、旅館業)は大いに潤い、日本経済の活性化に寄与しました。しかし、その一方で、宿泊業における人手不足が深刻化していたのです。

 宿泊業の有効求人倍率は、厚生労働省の職業安定業務統計を見ても2013年から2017年までの間で、全業種との比較にはなりますが、ずっと高い水準で推移していました。2017年でも、全業種の有効求人倍率が1.35であるにもかかわらず、接客・給仕の職業は、3.85であり、2018年12月に至っては、全業種の有効求人倍率が1.57であるのに対して4.15になりました。

 サービス業である宿泊業にとって、人手不足は致命的です。いくら宿泊客が増えても、対応する労働者が不足しているのでは、宿泊業の持続的な成長はあり得ません。もちろん、宿泊業界としても、ただ人手不足を嘆いていたわけではありません。人材育成、作業改善・標準化、シフト改善、IT化・機械化・道具化などで、人手不足を改善しようとする事例が、観光庁により紹介されています。

 また、女性・高齢者・若者の就業促進に取り組んだり、全国の旅館・ホテルの幹部層を対象としたワークショップやセミナーなども開催したりして、過去5年間(2011~2016年)の年平均生産性向上率は2.8%と、全産業平均である1.7%を上回る状況になりました(財務省「法人企業統計調査」)。

 新型コロナによって訪日外国人旅行者数は激減しましたが、将来ずっとこの状態が続いていくわけではありません。世界的に見ても、各国が一刻も早い観光の再開を願っています。再開した際は、新型コロナによって、我慢していた人々が一気に動く可能性もありますから、2019年当時以上の訪日旅行者数になってもおかしくありません。しかも、日本は国際的に見ても、新型コロナの罹患(りかん)数、死者数共に低いレベルにあり、いち早くコロナの流行を抑えられそうな兆しもあります。そうしたことから「安全な国」として、より多くの外国人旅行客が訪れる可能性すらあります。

 宿泊分野では、2019年時点でも、約3万人の人手不足が生じているものと推計されていました。当時は、その後5年間でさらに、全国で約10万人の人手不足が生じるだろうと見込まれていたのです。新型コロナ収束後は、こうした人手不足が表面化するかもしれません。

外国人従業員ならではの強み…

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執筆=小澤 和彦

弁護士法人 後藤東京多摩本川越法律事務所 弁護士。第二東京弁護士会の西東京市男女共同参画推進委員会委員長。業務分野は企業法務、知的財産など。主な著作として「相続戦争を勝ち抜く85のルール―相続財産の分配で、モメそうなときに読む本」(九天社)など。

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