中小サービス業の“時短”科学的実現法(第4回)感覚ではなく科学的にシフトを管理する

業務課題 経営全般 スキルアップ

公開日:2023.03.01

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 今回は、第3回で紹介した「第1ステップ、アプローチ1 プロット分析」の続きです。前回の最後に、平日と週末の2パターンでシフト編成している会社の例を紹介しました。

 客数が少ない平日でも出勤者数はほぼ固定されているので、現場の業務量が減って手待ち時間が増えても、従業員は何も言ってきません。客数が少なければ売り上げも減少しますので、労働投入量が固定されていれば、この現場の生産性は低下していることになります。

 反対に平日でも客数が多い日があるでしょう。そのような日は現場の従業員は忙しく、人手不足と感じ、会社に不満を訴えるかもしれません。経営者は「忙しい日」を気にして生産性を上げようとするケースが多いのですが、私は「暇な日」の生産性に関心を持つべきだと指摘しているのはこのような状況があるからです。

 「ギリギリの人数だと、お客さまからクレームが出ます」。経営者がシフト編成をするときに、作業量に応じて投入人数を最適化しようとすると、現場からたびたびこのように言われます。おそらくそれを言われた側も何となく納得してしまい、固定的な人員数が多くても仕方ないと思ってしまいます。

 これに対して、「実際に現場で何か問題が起きたのか」「お客さまから具体的なクレームや不満が出たのか」と聞いても、きちんとした回答は戻ってきません。現場では、このように感覚的な議論が具体的な根拠もなく進められているのが多くの会社の実態で、これが生産性向上を阻み、時短の障害になっているのです。実はある会社で業務量とミスの数を調べたところ、逆相関になっていました。つまり暇なときにミスが多く、忙しさが必ずしもミスの原因ではないのです。

 もし、客数200人を従業員20人で対応して現場が問題なく回り、お客さまも不満を感じていなければ、少なくとも20人以上の投入は過剰になります。その生産性をもってすれば、客数が400人、500人の対応も、もしかしたら25~30人程度の投入で十分で、それ以上の人数の出勤は必要がないのかもしれません。この現場は人手不足どころか相当な人余りの様相を呈していて、言い方を変えれば時短の余地、投入人員の削減余地がいくらでもあります。

 投入すべき従業員の適正人数を感覚的に決めるのではなく、あくまでもデータとその検証を基に科学的にシフトを管理すべきです。一瞬の忙しさから従業員が「人手不足です」と言ったため、それを検証せずに人を増やしていくとどうなるでしょう。忙しい時間帯は問題なく仕事を回せるようになりますが、ピーク前後の手待ち時間をそれまで以上に持て余し、少しの忙しさでも「人手不足状態だ」と感じてしまうかもしれません。

マルチタスク化が低稼働時に効果を発揮する…

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執筆=内藤 耕

工学博士。一般社団法人サービス産業革新推進機構代表理事。世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

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