中小サービス業の“時短”科学的実現法(第5回)感覚ではなく科学的にシフトを管理する(2)

業務課題 経営全般 スキルアップ

公開日:2023.04.14

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 今回も、「第1ステップ、アプローチ1 プロット分析」の続きです。前回の最後に、時短に成功した石和健康ランドの改善前の状況を紹介しました。今回は、改善のプロセスを解説します。

 かなり固定化したシフトで管理していた石和健康ランドでは、現場のあちこちから、人手不足を訴える声が相次いでいました。同施設のお客さまには農家も多く、雨が降ると農作業を切り上げ、骨休めに来館してくれる。こうした日は、どの持ち場も忙しくなるのです。お客さまが多いときは「仕事が回りません」「人を増やしてください」という声が絶えなかったそうです。しかし、会社としてはおいそれと人を増やせない。解決策を求め、荒井取締役は、まず忙しさを「見える化」したのです。始めたのが、15分単位で一日の業務内容をすべて書き出してもらうことでした。

 例えば、フロント業務の担当者はこう記入します。

午前8時台
30分間 フロント業務
15分間 朝礼
15分間 大広間の応援

 さまざまな持ち場がある同施設では、他部署の応援をする場合がよくあります。自部署の仕事内容と他部署の応援内容、それらを退社時に15分単位で手書きするのです。この書き出し表の実物が、図1です。

図1 フロント業務の業務時間と内容一覧

 1時間を「1」とし、45分間は「0.75」、30分間は「0.5」、15分間は「0.25」と表記します。一日の業務内容を忘れないように、その都度メモを取る社員もいますが、さほどの手間ではありません。これにより、正社員41人、パートなどを含めると100人以上いる従業員の働き方がよく分かるようになりました。

 でも、この表だけでは、社員の「忙しさ」までは分かりません。そこでこれを基礎データとし、分析をさらに進めます。図2を見てください。これは時間帯別で、一日の受付客数とフロントの従業員数を比較したものです。客数が少ないのに、フロント人数が多かった時間帯はどこか。反対に、受付人数が多いのにフロント人数が少なかった時間帯はないか。そうしたギャップを見つけるにはとても便利な図です。

図2 フロントの受付人数と時間帯別人員数

 ただし、このギャップが現実の忙しさと食い違う時間帯もあります。そこでギャップが生じた部分については、実際にどのような働き方だったのかを、先ほどの図1と照合し、確認します。石和健康ランドでは毎朝これらの図などを使い、前日の働き方を振り返っています。

 人手が足りなかった時間帯があり、それが残業につながったのだとすれば、どうすればそれを改善できるのか。例えば、忙しい時間帯に人員を厚めにするシフトが組めないか。他部署から応援を頼めないのかなどを検討し、できるところから実行に移していきました。また、人が余っている場合は受付カウンターを1カ所閉鎖し、浮いた1人を休憩時間や事務作業に当てれば、結果的に残業を削減できます。他部署の応援に回り、他部署の忙しさを解消するという働き方もできます。

 荒井取締役は、「現場は『とにかく忙しい』という曖昧な言い方をしなくなり、『午後5時から7時の時間帯にあと1人ほしい』と具体的な議論ができるようになりました」と変化を語ります。

フロントは「2人減」を達成…

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執筆=内藤 耕

工学博士。一般社団法人サービス産業革新推進機構代表理事。世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

【T】

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