店舗を設けてビジネスを行っている経営者にとっての悪夢は、店内に客がおらず閑古鳥が鳴いている状況だ。逆にいえば、常に客の行列ができている状態こそが繁盛の象徴といえる。その状態が「あんなに待ってまで買いたい商品があるんだ」という“看板”になり、新たな客を呼び込むという好循環を生む。
しかし、そんな好循環に油断していると落とし穴もある。長時間待たせると、顧客満足度が低下することもあるからだ。待っている間に客の期待するハードルはどんどん上がっていく。それをクリアし続けるのは非常に難しい。
お店の入り口に待ち行列ができる。この状態自体はお店を経営する側にとって、決して悪いことではない。大切なのは行列をなくすことではなく、それを一定レベルにコントロールして、顧客満足度に悪影響を及ぼさないようにすることだ。
行列を一定レベルにコントロールする方法にはどんなものがあるのだろうか。すぐに考え付く方法として、客の人数に合わせて販売窓口を増やす、客席を増やすといった対応が考えられる。しかし、これらを実行するには、資金的、人的な問題で難しいケースが多いだろう。
それなら、効率アップで生産スピードや販売スピードを上げるといった手段も考えられる。飲食店でいえば調理スピードを上げる。物販店でいえばレジやラッピングの手順を見直すといった方法だ。これらはビジネスを行う上で非常に大切で、経営者として真剣に取り組む必要があるが、必ずしも即効性が高いとはいえないのが弱点だ。
上記のような根本的、長期的な解決を検討している中で、まずは手軽にできる方策として、整理券を発行したり、待ち時間の目安を示したりする手段がある。これらは昔からあるが、かなり効果的だ。行列に並ぶ客の大きな不安は「いつになったら受け付けてもらえるのかが分からない」ことだからだ。
待ち時間の不満の解消方法… 続きを読む
執筆=高橋 秀典
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