ビジネスWi-Fiで会社改造(第8回)
Wi-Fiで売り上げを増やそう―売り上げアップ作戦
2017.08.30
店舗や駅、空港など多くの人が集まる場所で無料Wi-Fiの整備が進んでいる。ただ従来、電波の使用で電子機器にトラブルが生じる恐れがあるという理由で、整備が進まなかった場所もある。その代表が病院だ。しかし2014年、手術室などの一部区域を除いて利用可能という指針が出されて状況が変わった。それを受け、翌年には富山県内の公的病院内で初となる無料Wi-Fiの導入に動いた黒部市民病院(同県黒部市)の担当者に、導入の狙いや経緯、活用状況、今後の展望などを聞いた。
<黒部市民病院>
1948年に「下新川厚生病院」として開設。以後、富山県東部、新川医療圏の基幹病院として、包括的かつ高度な医療サービスを提供する。「日々念心(医療者の研究と工夫努力に裏打ちされた患者さんとの心の医療)」を病院憲章に定め、電子カルテや地域医療連携システムも積極的に活用。急性期・救急医療の拠点としての機能強化に取り組む。外来診療棟内の1、2階の待合スペースなどで無料Wi-Fiを利用可能にしている。
富山県東部に位置する黒部市は、トロッコ電車で有名な黒部峡谷や宇奈月温泉など、恵まれた自然環境で知られる。また、多くの企業が立地する工業地域としての顔も併せ持つ。2015年には市内に北陸新幹線・黒部宇奈月温泉駅が設置され、利便性が向上した。
黒部市民病院医療情報部情報管理課長の荻野仁氏
黒部市民病院は、黒部市と近隣自治体(魚津市、入善町、朝日町)で構成される「新川医療圏」の基幹病院として、包括的な医療サービスを提供する。同院医療情報部情報管理課長の荻野仁氏は、院内の課題と解決策について次のように話す。
「外来を受診する方々から、“待ち時間が長い”とのご意見が多数寄せられていました。これは当院に限らず、病院全般の問題です。診察までの長い時間を少しでも快適に過ごせるようにするのは、患者に対する有効なサービスになります」。その具体策として、同院では受診者が待ち時間に利用できるWi-Fiサービスに着目。導入の検討を開始した。
これまで病院内でのスマートフォン、携帯電話の利用は、電波による医療機器などへの影響を考慮して原則的に禁止とするケースが多かった。しかし2014年8月、電波環境協議会(※)が「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」を発表し、手術室や集中治療室など、一部のエリアを除いて利用可能との見解を示し、状況は大きく変わった。
当時、黒部市民病院では2015年の完成をめざして、外来診療棟の改築を進めていた。「病院の増改築事業に伴いネットワークインフラの再構築を検討していました。ちょうどそのタイミングで新しい指針が発表され、患者用のWi-Fiサービスを提供しようと考えたのです」(荻野氏)
受診までの待ち時間短縮に向けて努力するのはもちろんだが、採算性などを考えれば、診療能力を上げるには限界がある。そこでWi-Fiサービス提供により、待ち時間を有効に活用してもらい、患者の不満を減らすことを考えた。
※ 電波による電子機器などへの影響を防止・除去する対策を協議するために、学識経験者、関係省庁、業界団体などで構成された協議体
執筆=林 達哉
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