ビジネスのコミュニケーション手段としていまだに根強いのが電話だ。その電話もビジネス環境の変化や通信技術の革新とともに大きく変わろうとしている。Web会議やチャットなどでおなじみのMicrosoft Teams(以下、Teams)を利用し、会社の固定電話番号で発着信できる新しい電話サービスがある。NTT西日本の「ひかりクラウド電話for Microsoft Teams」を例に、従来の電話サービスと何が変わるのか見てみよう。
パソコンやスマホで会社の電話番号を発着信
ひかりクラウド電話 for Microsoft Teamsは、Teamsを導入したパソコンやスマホ、タブレットから、固定電話番号(06-××××-××××など)での発信・着信が行える電話サービスだ。もちろんTeamsを用いたWeb会議やチャットも使える。オフィスワークとテレワークの音声コミュニケーションの課題を解決すると見込まれている。
例えば、出社勤務と在宅勤務を併用する企業も少なくない。「オフィスにかかってきた取引先などからの電話を、テレワークや外出中の従業員に取り次ぐのが大変」という声が聞かれる。電話の取り次ぎのためだけに出社しているケースもあるようだ。
ひかりクラウド電話 for Microsoft Teamsは、従業員のTeamsアカウントにひも付けた固定電話番号を一人ひとりに付与できる。オフィス、自宅、外出先など、従業員がどこにいてもTeamsに対応するパソコンやスマホに固定電話番号でかけられる。取引先からの重要な電話連絡を逃すといった懸念も解消される。これならオフィス勤務の従業員も電話の取り次ぎで業務が中断されない。生産性を向上できる。
発信の課題も解決する。テレワークや外出先から固定電話番号での発信も可能となる。
個人所有のスマホで顧客・取引先に電話をかける場合、相手先の電話にはその携帯電話番号が表示される。相手が知らない携帯電話番号であれば、出てもらえない可能性も否定できない。また通話料負担の問題に加え、取引先とはいえ個人のプライバシーに関わる携帯電話番号が知られるのも、好ましくない。
Teams対応のスマホを使って固定電話番号から発着信できれば、こうした懸念も解消される。
Web会議や電話、チャットなどコミュニケーションツールに応じて端末を使い分けるのが面倒という声も聞かれる。端末やツールの使い分けにより、伝達事項を見落とすリスクもある。ひかりクラウド電話 for Microsoft Teamsは、Teamsに搭載されているWeb会議やチャットなどの機能に、固定電話番号による外線通話機能を追加。Teamsに連絡機能を集約すれば、コミュニケーションツールの乱立による連絡事項の見落としを防げるといった効果が期待できる。
外出先や在宅勤務(リモートワーク)でも、オフィスと同様の環境を実現
Teamsとひかり電話オフィスA(エース)の「いいとこ取り」…
ひかりクラウド電話 for Microsoft Teamsは、インターネット電話やIP電話と何が違うのだろうか。Teamsなどのコミュニケーションツールには、IP通信(インターネット)を利用する音声・ビデオ通話機能が搭載されている。
通信事業者が提供するIP電話サービスもある。NTT西日本の法人向けIP電話サービス「ひかり電話オフィスA(エース)」の場合、NTT西日本管内の同一契約者の事業所間の通信コスト削減が可能だ。転送電話など便利な機能が標準装備されている。ただし、端末は固定型多機能電話機やコードレス電話機が使われるのが一般的だ。
ひかりクラウド電話 for Microsoft Teamsは、端末・ツールの集約が可能なTeamsとひかり電話オフィスA(エース)の“いいとこ取り”をしたような新サービスだ。
通話料金は、ひかり電話オフィスA(エース)と同等だ。例えば本社と支社の通話の場合、ひかり電話オフィスA(エース)の通話として利用でき、NTT西日本管内の同一グループ内ひかり電話サービスへの音声通話が無料になる(同一契約者間)。また、本社とテレワーク中の従業員の通話はひかりクラウド電話による無料通話(同一契約者内)が適用され、従業員が本社に電話をかけても通話料金はかからない。
テレワーク中の自宅などからパソコンや個人所有のスマホを使って顧客・取引先へ外線通話する場合、ひかりクラウド電話での発信となる。通話料金は会社への請求となり、従業員の通話料金の申請や経理部門の処理の手間が軽減できる効果もある。
PBXや電話機が不要なクラウド型電話サービス
ひかりクラウド電話 for Microsoft Teamsは、クラウドサービスとして提供される。そのため、企業は外線・内線通話に必要だった従来のPBX(構内交換機)やビジネスフォン主装置が不要だ。また、固定電話機に代えてパソコンやスマホ、タブレットを通話に利用できる。定期的なPBXや電話機への投資が不要になるだけでなく、総務部門やIT部門は通話に関わる機器を管理・運用する手間が減らせる利点がある。
テレワークの導入でオフィスのスペースを縮小したり、決められた席のないフリーアドレスを導入したりする企業もある。ケーブル配線が必要な従来型の固定電話機から、固定電話番号が付与されたパソコンやタブレット、スマホ向けに無線(Wi-Fi)環境を整備すれば、オフィスレイアウトの変更やフリーアドレスなどにも柔軟に対応できる。
NTT西日本では、企業がひかりクラウド電話 for Microsoft Teamsを導入しやすいよう、支援策を打ち出している。一定の期間内に申し込み、利用開始した場合、初期工事費などの割引を適用する。また、Teamsと電話番号のひも付けなど設定代行メニューをオプションとして提供し、初回設定代行が無料となっている。加えて、設定後、通話試験を行い、利用できる状態で渡すなど、NTT西日本ならではの導入支援を行う。
多様な働き方への変化とともに、ビジネスコミュニケーションの在り方も変革させる必要がある。パソコン、スマホから固定電話番号で発着信できるひかりクラウド電話for Microsoft Teamsの導入・活用はその契機となるはずだ。
オフィスフロアのフリーアドレス化も行いやすくなる
【ひかりクラウド電話for Microsoft Teamsについて】
・本サービスの契約には、NTT西日本が提供する「フレッツ 光ネクスト」もしくは光コラボレーション事業者が提供するFTTHアクセスサービスいずれかの契約が必要。「フレッツ 光クロス」「フレッツ 光ライト」「フレッツ 光ライトプラス」では利用できない
・利用には、フレッツ光などとプロバイダーおよびそれにかかるひかり電話オフィスA(エース)の契約が必要。またマイクロソフト社が「Microsoft Teams」向けに提供している「Phone System(電話システム)」または「Microsoft 365 Business Voice」と、それらを付与可能な「Office 365またはMicrosoft 365」ライセンスが必要
・本サービスはひかり電話オフィスA(エース)に付随するサービスの一部機能は利用できない
【ひかり電話オフィスA(エース)について】
・ひかり電話オフィスA(エース)の利用には、フレッツ光など契約・料金が必要。なお、「コラボ光」が廃止された場合、NTT西日本がお客さまに直接提供する「ひかり電話オフィスA(エース)」も同時に廃止になる
・0039などの電気通信事業者を指定した発信など、一部かけられない電話番号がある
【無線LANカード(有料レンタル)について】
・利用には、「フレッツ 光ネクスト」などの契約・料金と対応ホームゲートウェイ(有料レンタル)が別に必要
・利用環境・状況などにより、通信速度が低下または通信できない場合がある
※「Microsoft Teams」はMicrosoft Corporationの商標または登録商標です
※「Microsoft 365」はMicrosoft Corporationの商標または登録商標です
※「Phone System」はMicrosoftが提供するサービスです
※「Microsoft 365 Business Voice」はMicrosoftが提供するサービスです
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