教育で地域が輝く(第1回)過疎で廃校寸前の高校が起こした奇跡

教育機関の変革

2016.11.09

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 島根半島から約60kmの日本海に浮かぶ隠岐諸島は、島前(どうぜん)と島後(どうご)に分かれている。島前地域は西ノ島町・海士町(あまちょう)・知夫村(ちぶむら)からなり、それらを学区とするのが島根県立隠岐島前高等学校(以下、島前高校)だ。島前地域は過疎化が進み、2000年代には島前高校の生徒数も激減。1997年の入学者数は77人(2学級)だったが、2008年の入学者数は28人で全学年が1学級になった。生徒の流出はとどまらず、同年には島の中学生の半分以上が島外の高校に進学した。このままでは、島根県の高校統廃合基準の21人を下回り、廃校になってしまうという危機的状態だった。

いずれ若者がいなくなる未来

 統廃合で島前高校を失うことは、島前地域に15~18歳の若者がいなくなることを意味する。15歳で島を出て、街の高校に通った若者は、そのまま島に戻らず暮らしていく可能性が高い。島前高校の存続は島の存続と直結していた。

 そこで2008年、「ピンチは変革と飛躍へのチャンス」という考え方に立ち、魅力ある高校づくりをめざす「島前高校魅力化プロジェクト」(以下、魅力化プロジェクト)が始められた。スローガンは「島前地域とともに歩む高校一人ひとりの夢の実現を目指して」。プロジェクトにおいては、まず大人たちが手本となるために、「批判者」ではなく「当事者」として動き、「できない理由」ではなく「できる方法」を考えた。また、学校・地域・家庭が協力するために、それぞれの関係を「溝・壁」ではなく「連携・協働」として捉え直した。

 島内では、島で進学すると学力が伸びず、大学進学に不利だという思い込みがあった。小規模学級だからこそ、一人ひとりにきめ細かな指導ができる。それを強みと捉え、個別指導や少人数指導を手厚くし、特別進学コースを開設した。

 また、生徒数が少ないと、多様な考え方に触れる機会が少ない。島外の高校生や大人たちとコミュニケーションを取る方法を模索した。生徒が地域内外のプロフェッショナルの知恵を取り入れて、実際のまちづくりや商品開発などを行うカリキュラムを導入。「地域創造コース」を開設し、体験型のプロジェクト学習を通して、チームワークやPDCAサイクルの回し方を学べるようにした。

起死回生のアイデア「島留学」…

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執筆=菊地原 博

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