社労士が解説、長時間労働のない職場づくり(第6回)在宅勤務で長時間労働を是正する

業務課題 法・制度対応

公開日:2021.05.18

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 2020年は新型コロナウイルスに始まり、新型コロナウイルスで終わった年となりました。と同時に、社員が新型コロナウイルスに感染することを防ぐために、在宅勤務制度を採用する会社が一気に増えました。それまで在宅勤務にあまり積極的でなかった会社も、在宅勤務を取り入れなければならない風潮になってきたのではないでしょうか。とはいえ、あまりに急な対応を迫られたため、在宅勤務に関する情報も十分とはいえず、またその内容が不完全であった会社も多かったことと思います。

 また、この在宅勤務について、長時間労働の温床となっているというニュースも増えてきています。しかし、この在宅勤務制度は、社員の体力と時間を浪費する通勤を削減することができるうえ、うまく使えば、長時間労働を是正するツールになる可能性もある制度といえます。では、在宅勤務をどのように活用すれば長時間労働を是正できるのでしょうか。考えてみましょう。

●事例1 仕事と家庭のバランスが取れない

A社の社員Bは、在宅勤務を行っているのですが、小学校に上がる前の子どもがいるため、仕事になかなか集中できないでいます。そのため、子どもが寝静まった夜に仕事をすることが多くなり、必然的に寝不足が続いています。

 在宅勤務のほとんどは、社員の自宅で行われます。社員の自宅で仕事を行うということは、「家庭」を身近に感じながら仕事を行うということです。家族の世話だったり、テレビなどの誘惑だったり、家庭の雑務だったり、どうしても仕事と私的なこととの境目が見えにくくなり、労働生産性が下がることになります。仕事と家事のけじめがないまま、ダラダラと1日を過ごしていているようでは、無駄な労働時間が増えてしまうだけです。

 このようなことがないように在宅勤務規程に、始業時刻と終業時刻、休憩時間をしっかり規定しておく必要があります。

 また、会社や上司からメールや電話が来ると、社員は義務感から仕事をしてしまうものです。在宅勤務者に対し、始業時刻前や終業時刻後にメールや電話などをすることは、よほどの緊急事態でない限り控えるようにしましょう。

■在宅勤務規程の「労働時間」の規定例

第〇条(労働時間)
1.在宅勤務時の労働時間については、就業規則に定める下記の所定労働時間について勤務したものと見なす。
始業時刻:9時 終業時刻:18時
2.第1項に関わらず、会社の承認を受けたときは、始業時刻、終業時刻及び休憩時間を変更することができる。
3.休憩時間については、就業規則に定める下記の通りとする。
休憩時間:12時~13時(1時間)
4.会社は、原則として、始業時刻前及び始業時刻後に連絡をしないものとする。ただし、緊急を要する事項についてやむを得ず連絡する場合はこの限りでない。

■在宅勤務規程の「業務の開始及び終了の報告」の規定例

第〇条(業務の開始及び終了の報告)
在宅勤務者は、業務を開始したとき及び終了したときは、次のいずれかの方法により所属長に報告しなければならない。
(1)電話
(2)電子メール
(3)SNS
(4)その他の情報ツール

●事例2 成果を出すのに必死にならざるを得ない…

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執筆=嘉瀬 陽介

1963年、秋田県生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。2003年、横浜で社会保険労務士事務所を開業。2006年、特定社会保険労務士の附記を受ける。社会保険労務士の業務と並行して児童文学の執筆をしている。趣味はスポーツをすることとドラマを見ること。

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