「三井のリパーク」のブランド名で全国にコインパーキング事業を展開する三井不動産リアルティは、駐車場に災害時支援機能やWi-Fi機能などを備えた高機能自動販売機を設置することで、災害時支援や観光客の利便性向上を図っている。同社の取り組みを通して新サービスを提供する際の課題や、具体的な効果について紹介する。
<三井不動産リアルティ>
1969年、三井不動産が分譲する各種不動産の販売会社として創業。「三井のリハウス」をはじめとした不動産仲介事業において幅広い事業展開を行うほか、1994年に駐車場管理・運営事業に進出し、コインパーキングを全国的に手掛けている。2016年9月末時点の管理駐車場数は1万カ所以上、管理台数20万台を超える規模になった。
三井不動産リアルティでは、利便性の高い交通インフラとして認知されつつあるコインパーキング事業の拡大を図るため、将来を見据えた取り組みを積極的に行っている。「駐車場を単に車を止めるだけの場所ではなく、さまざまな付加価値を付けて社会に貢献する施設にすることをめざしています」と、リパーク事業本部事業推進部事業企画グループの國立和樹氏は話す。
自動車社会の成熟に伴い、駐車場不足が深刻化する中で登場したコインパーキングは、路上駐車を減らし、交通渋滞を緩和することで安全をもたらす有益な施設として受け入れられている。
「ただ一方で、その整備にはいくつかのマイナス要素があることも事実です。例えば、場内での騒音や排ガス発生、ゴミ放置などにより、近隣住民から批判的な意見が寄せられることもあります」と國立氏は打ち明ける。
「だからこそ昨年、コインパーキングに付加価値を付けるためのキーワードとして『安心・安全』『先進性』『環境配慮』『災害時支援』の4つを挙げました。この方針で整備することによって、コインパーキングを社会貢献できる場所として訴求していく計画を策定したんです」(國立氏)
各地でこの計画の具体化を図る中で、NTTグループから同社に高機能自動販売機導入の提案があり、兵庫県神戸市中央区の「三井のリパーク 栄町通第二駐車場」(以下、栄町通第二駐車場)から導入が始まっている。
高機能自動販売機を設置して駐車場で社会貢献… 続きを読む
執筆=林 達哉
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