ビジネスWi-Fiで会社改造(第9回)
Wi-Fiのトラブルに強くなろう―信頼獲得作戦
2015.12.02
他人と比較せず、親が自分の考えを押し付けず、とにかく子ども自身に考えさせ、選択させる。これが村上家の子育てのポイントだ(前編)。しかし、それだけではない。この後編では「失敗を経験させる」「責任を求める」「守られている感覚を与える」重要性を紹介する。
村上太一(むらかみ・たいち)
1986年生まれ。早稲田大学政治経済学部1年に在籍中の2006年、リブセンスを設立。09年大学卒業。11年、25歳1カ月という当時の史上最年少で東証マザーズに上場した。
子どもの考えを尊重し、選択権を与えると、「自分は認められている」という自己肯定感を持つようになる。村上の両親は前編で紹介した「ビーチサンダル」のエピソードに象徴されるように、その点において人一倍徹底していた。だから村上は19歳で起業することに対して、まったくためらいはなかった。人と違う道を歩むことに誇らしささえ感じていたという。
子どもの考えを尊重するのは、父親も同じ。最近もこんなことがあったという。村上が、父親と2人で車に乗っていたときのこと。「次の信号で曲がったほうが、近いと思うよ」と村上が言うと、父親は「そう思うかもしれないが、そっちに行くと一方通行があって、結局遠回りになるんだよ」と教えた。けれど「そうかなあ」と釈然としない様子の村上を見た父親は、「よし、そっちに行ってみようか」と信号で曲がった。
結局、父親が言った通り、一方通行があって回り道になってしまった。けれど、父親は怒らないし、「ほら見ろ」と村上に文句を言うこともしない。「答えは分かっている。けれど、わざわざ息子に失敗をさせる。うちの親はこういうふうに僕を育ててくれたんだ、と改めて感心しました。両親のおかげで僕は、あらゆることを自分の問題に帰結させるという思考回路になっています」。
「自分で選択をすると、他人に責任を転嫁しなくなる。僕自身もほとんど愚痴は言わないし、同様の育てられ方をした2人の姉からも愚痴を聞いたことがありません。この前、会社勤めをしている上の姉が『今の上司が良くないのよ』という話をしていましたが、『だから、私はこういうふうに改善しようと思っているの』と解決策がセットになっている。仕事は大変そうだけど、見ていて悲壮感がない。実に楽しそうに仕事をしています」
会社の業績が振るわなくても、経営者にはたくさんの言い訳が用意されている。景気のせい、社員のせい、取引先のせい、銀行のせい……。確かにどれだけ努力しても、結果が伴わないことは多々ある。しかし、不振の理由を人のせいにしている限り、苦難は乗り越えられない。責任を一身に負い、すべては社長の責任という「自責の哲学」を持ってこそ、会社を大きく発展させられる。
そうした真理を、多くの経営者は挫折を経て気づく。しかし村上の場合は、両親から早い段階で植えつけられた。ここが村上の強さだ。
しかし、自由に子どもを育てたら、まかり間違えば道を踏み外すことにもなりかねない。自立心に富んだ人間に育つのか、それとも手がつけられないほど奔放な人間になってしまうのか。その分岐点はどこにあるのか。村上に尋ねると、2つ挙げた。…
執筆=北方 雅人/本荘 そのこ
北方 雅人
1969年兵庫県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、91年に日経BP社入社。主に経営誌の編集部を渡り歩き、現在は、オーナー経営者向けの月刊経営誌『日経トップリーダー』副編集長。
本荘 そのこ
1969年北海道生まれ。法政大学大学院経済学研究科経済学専攻修士課程修了。地方新聞社、法律事務所勤務などを経て、98年からフリーの記者として活動。
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