オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2016.03.14
井上氏の母親は、子どもに自己肯定感を持たせて、その決断を尊重しました。後編は井上氏を起業に向かわせた兄弟や父親との関係について説明します。
井上高志(いのうえ・たかし)
1968年生まれ。青山学院大学を卒業後、リクルートコスモス(現・コスモスイニシア)、リクルートを経て、95年に創業。97年ネクストを設立。「HOME’S(ホームズ)」を日本最大級の不動産・住宅情報サイトに育て上げた。
「社員教育の考え方を学ぼうと、教育学や心理学の専門書などを読むうちに、サラリーマン家庭で育った自分がなぜ経営者になったのかが分かってきました。私は母から、自分の力を信じるセルフエスティーム(自尊心)を強く与えられたから、起業家という大変な道を進むことができた。実際、私は常に母に見守られている感覚があります。母の手のひらの上にいて、何をしてもちゃんと遠くから見てくれているような安心感がある。だから、チャレンジできるんですね。客観的に見たら、起業の成功確率は0.1パーセントくらいだったかもしれないが、リスクを恐れず飛び込めたのは母のおかげです」
母の深い愛情を注がれたのは、井上の姉や兄も同じだ。姉は結婚して幸せな家庭を築き、兄は大手商社で欧州事業のトップを務めている。なぜ井上だけが経営者になったのか。それは、兄に対するライバル心からだという。
「小学校、中学校は兄と同じ学校だったのでまだよかったのですが、高校は別になり、さらに差がつき始めたんですね。そして兄は慶應義塾大学に進み、就職もさくっと大手商社に内定をもらった。何とかして兄を追い越したい。一気に抜き去るには、起業しかない。自分が就職活動をするときになって、明確にそう思うようになったんです」
出来のいい兄に引け目を感じていた子ども時代の面影は、すっかり消えていた。負い目がマイナスの感情に向かわず、プラスのほうに転じることができたのは、母親から与えられた自己肯定感のたまものだ。
父親の存在も起業に影響しているという。父は高度成長期を駆け抜けた企業戦士で、仕事一筋。家庭を顧みる時間は少なかった。井上と父の関係は昔も今も良好で、井上は育ててくれたことに感謝もしている。
ただ井上は言う。「結婚して、子どもが生まれて、車と家を買って、何十年のローンを組んで、そして子どもが巣立つ。父親が歩んできた、そんな先が見えるようなサラリーマン人生は嫌だなという気持ちを持っていたから、起業に向かった面はあります。仕事の話を、父からたくさん聞かされていれば違ったかもしれませんが」…
執筆=北方 雅人/本荘 そのこ
北方 雅人
1969年兵庫県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、91年に日経BP社入社。主に経営誌の編集部を渡り歩き、現在は、オーナー経営者向けの月刊経営誌『日経トップリーダー』副編集長。
本荘 そのこ
1969年北海道生まれ。法政大学大学院経済学研究科経済学専攻修士課程修了。地方新聞社、法律事務所勤務などを経て、98年からフリーの記者として活動。
子どもを社長にする子育ての極意
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