ビジネスにまつわる経費の話(第1回)本当のリストラは単なる人員削減にあらず

資金・経費

2015.11.09

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 2015年夏、1冊の本がサラリーマンの間で話題になりました。その1冊とは『切り捨てSONY リストラ部屋は何を奪ったか』。著者は巨人軍の球団代表を解任された経歴を持つ清武英利氏で、衝撃的なタイトルとともに話題性十分。しかしその内容もまた、多くのビジネスマンに衝撃を与えるものでした。

 「自由闊達なる理想工場」を目指して世界を席巻したソニーですが、1999年から都合6度、目標削減数は計8万人という空前の規模のリストラを行います。大企業勤めでも安泰でないという現実を、多くのサラリーマンが目の当たりにしたことでしょう。

 業績不振に陥った企業は多くの場合、コストの見直しのため人件費を削減しようとします。バブル崩壊後の“失われた20年”の間に、何社もの有名企業が大規模な人員削減を行い、その度に「リストラで●●●人を削減」というタイトルの記事が新聞や雑誌に掲載されました。そのような経緯を経て現在では、リストラ=人件費削減というイメージが社会全体にすっかり定着してしまったように思えます。

 しかし本来のリストラの意味は、人件費の削減ではありません。リストラとはリストラクチャリングの略称で、原義は「再構築」です。人件費の削減が最終目的ではなく、何かを無くし、何かを新しく作ることで会社をモデルチェンジする、というのが本来の意味なのです。

人件費が真っ先に削減される理由

 なぜ、経営がうまくいかなくなると、企業は人件費を削減するのでしょうか。それを理解するために、少しばかり決算書の話をしましょう。

 決算書の肝となる「経常利益」の数値は、「限界利益(売上高-変動費)-固定費」という計算式から算出されます。変動費とは売上に比例して増減し、固定費は売上の大きさに関係なく常に一定の額だけかかるものです。

 売上が落ち込んだ企業の経営者は一般的に、固定費を抑えることで利益幅を確保しようとします。そして多くの場合、固定費のなかで最も多くのウエートを占めているのが人件費です。人件費を削ることは、決算書の見栄えをよくするためにもっとも分かりやすく、簡単な手法なのです。

見栄えのよい決算書はなぜ必要か

 しかし決算書は、あくまで当該年度の経営状態を記載したものに過ぎません。地道に育てた人材を放出することは、会社にダメージを与えます。倒産寸前というわけでもないのに、経営陣はなぜ目の前の決算書を重視するのでしょうか? …

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執筆=南部 善行studio woofoo

1991年、関西学院大学経済学部卒業。同年、地方銀行に入行し、長年にわたり地域に密着した経済活動を支援。支店勤務では営業統括部門の責任者として経験を積む。資産運用、税務、財務など幅広い分野の経験、知識を生かし、現在は富裕層を対象に資産運用、コンサルティング業務を行う専門部署で活躍。その他、豊富な実務経験を生かし現在は不動産、相続対策など、関連分野においてフリーのライターとして活動している。

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