新規事業に挑戦!(第22回)デジタルサイネージ業界をつくり変える

販路拡大 ビジネス機器

公開日:2018.03.19

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 屋外に設置されている据え置き型のディスプレーや、自販機に液晶パネルを搭載したスマートベンダーで情報を発信する機器などを「デジタルサイネージ」と呼ぶ。一口にデジタルサイネージといっても、その表現力や技術レベルには、大きな違いがある。設定された映像を繰り返し再生しているだけのものから、ネットワークにつながって、その指示で適切な情報を発信するもの、目の前に立っている人間の顔を認識して提供する情報を変えるものまである。

 山下惠助氏率いるクロス・メディア・ネットワークス(以下CMN)も、デジタルサイネージサービスを提供している1社だ。同社の場合、設置機器をクローズドなネットワークを使って管理・発信する。ホテルでの案内板のような、限られた人だけに向けた情報発信が中心だ。クローズドなネットワークとは、この場合は、特定のアプリをダウンロードして利用している人にだけ、といった意味合いだ。ほかに、CMNが関わっているデジタルサイネージを見ることができるホテル、公共施設などでのみ情報が発信されるという使い方もできる。

【社  名】 クロス・メディア・ネットワークス株式会社
【事業内容】 ●小型、大型ディスプレイを取り入れた電磁看板事業・デバイスの開発、ソフトウエア開発●情報処理システム、情報処理サービス●都市開発、都市計画及び都市空間利用に関する企画、調査、設計事業など
【設  立】 2008年
【本  社】 福岡市博多区
【資 本 金】 1億7500万円
【従業員数】 27人(システムエンジニア数10人、契約社員含む。2016年4月末現在)

デジタルサイネージをただの看板にしない

山下惠助代表取締役社長。1991年、専修大学経済学部卒業。その後、米国のカリフォルニア州立大学へ留学。95年、有限会社シーズ入社。2000年、有限会社ノイエを創業、代表取締役に就任。08年、ノイエをクロス・メディア・ネットワークス株式会社に変更。現在に至る。

 例えば、特定のアプリをインストールしたスマートフォンやタブレットを持ったユーザーが、CMNが設置したデジタルサイネージの近くを通りかかる。すると、デジタルサイネージに埋め込まれたセンサーが端末のユーザーの接近を感知する。端末の所有者の性別・年齢・嗜好などに合った情報を、アプリ経由で通知するという仕組みだ。

 このように、ユーザーが自分から情報を取りに行かなくても、自動的に必要な情報が配信されるタイプを「プッシュ型」という。こうしてデジタルサイネージ設置店舗、あるいはその近辺で使える情報や割引券などを発行し、利用を促す。アプリ登録時にその人の属性を確認しているので、不要な人には情報が届かない。

 使われるセンサーは目的に応じて数種類あり、提供される情報はネットワーク経由で配信される。地域限定、あるいは属性限定の情報配信ができ、相手を絞り込んだ広告活動ができる。

地域限定、特定のビル限定といった使い方ができる…

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執筆=森部 好樹

1948年佐賀県生まれ。東京大学を卒業後、旧日本興業銀行に入行。香港支店副支店長などを経て興銀証券へ出向。ビックカメラで取締役を務め、2002年、格安メガネチェーン「オンデーズ」を設立し社長に。2007年共同広告社に移り、2008年同社社長に就任。2013年に退社して独立し、顧問業を専門とする会社、ロッキングホースを創業。現在代表取締役。

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