ビジネスシーンで役立つ極意(第2回)社内を劇変させるコクヨの会議ファシリテーション術

遠隔会議 スキルアップ

公開日:2017.03.31

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 業界トップクラスの実力を持つ企業であっても、自社のリソースに満足せず、常に新しいアイデアを求めている。今回紹介するのは、文房具やオフィス家具の製造販売、オフィス通販などを事業展開しているコクヨの極意。同社で、オフィス家具の設計から空間デザインまでを手掛けるファニチャー事業本部が運営する実践型研修サービス「スキルパーク」の中で、人気の高い「会議ファシリテーション術」だ。スキルパークの誕生背景と研修内容に加え、生産性が3倍アップする会議術について、スキルパーク シニアトレーナーを務める下地寛也氏に話を聞いた。

コクヨ株式会社
[コクヨの研修] スキルパーク シニアトレーナー
下地寛也 氏
1969年生まれ。千葉大学工学部工業意匠学科卒。1992年コクヨ株式会社に入社。
オフィスインテリアデザイン設計、働く環境と従業員の行動に関する分析・研究などの業務に従事した後、2003年より法人顧客に対する企業変革コンサルティング、人材育成・
教育研修を担当。ワークスタイル研究所の所長を経て、現在は経営企画室にてコクヨグループのチェンジマネジメントにも取り組んでいる。(撮影/上野隆文)

「会議ファシリテーション研修」

 コクヨの研修「スキルパーク」では、組織全体のスキルアップにつながる数多くの研修を用意している。さまざまな企業が抱えるリアルな課題や問題を知るコクヨならではの実践的な内容となっている。そのうちの1つ「会議ファシリテーション研修」では、会議をうまく進行させるための、効率的で効果的なファシリテーションの基本スキルを身に付けることができる。また、読んで学べる「コラム」も掲載されている。

 オフィス家具の設計から空間デザインまでを手掛けるファニチャー事業本部から、スキルパークという研修事業が誕生した背景について、下地氏はこう話す。

 「1997年に、社内でフリーアドレスをスタートさせましたが、効果的な運用ができずに結果はボロボロ。オフィス家具や空間デザインを売るだけではダメなんだと何となく気付いたきっかけの1つだったと思います。ハードの設計だけでなく、働き方といったソフト面での提案を行うのがコクヨ流です。なぜオフィスをつくり変えるのか、なぜこの家具を購入したのかを伺っているうちに、さまざまなノウハウがたまってきたのです。お客様の悩みで特に多いのが、社内のコミュニケーションをスムーズにして、フロアを活性化したいというものでした」

 試行錯誤の中で見えてきたのは、オフィス環境を変えたからといって、働き方やコミュニケーションは自動的には改善されないということだった。下地氏はこうした企業が抱える課題について、「欠如していたのは『なぜこの空間デザインなのか』『環境を変えることで何をめざしているのか』を社員間で共有するという視点だったのです」と語る。

 競合と比較しても、コクヨの強みは顧客のリアルな課題を解決してきた実績にある。アカデミックなアプローチやメソッドづくりから解決方法を探るのではなく、1社1社の課題解決から“解”を導き出すことにますます注力するようになったという。「私たちの事業で今後知っておくべきこととして、組織のコミュニケーションがどうあるべきかについてノウハウを集めるだけではなく、体系立てて研究し始めたのです」(下地氏)

社内実験場LIVE OFFICEが社内を成長させた

 そうした中、知見を試し解決へと導くオフィス空間を提案する場所が必要だとして誕生したのがLIVE OFFICEという取り組みだ。1969年、当時の一般オフィスより一歩進んだ「生きたショールーム」として始まった画期的な試みは、現在全国にある同社オフィスのうち26カ所(※2017年3月31日現在)で展開する、自社製品とアイデアを試すスペース。来社した顧客に公開し、実際に使用している様子を見てもらう狙いのほか、コクヨの社員も新しい働き方を試すことができる。生きた知識と経験を貪欲に取り込もうとする取り組みである。

全国26カ所にあるコクヨのLIVE OFFICE。品川オフィスは新製品の「DAYS OFFICE」シリーズなどで構成されている

全国26カ所にあるコクヨのLIVE OFFICE。品川オフィスは新製品の「DAYS OFFICE」シリーズなどで構成されている

 「当社は、フリーアドレスや昇降デスクの導入など、まずは思いついたら何でも自社でトライアルをしてみる企業文化なんですね。ただし、社内でトライしたことの8割は失敗に終わります(笑)。つまり成功確率は20%程度。そこから何度も社内でトライ&エラーを繰り返してお客様が使いやすい状態に持っていき、初めて製品化やノウハウ提供へとつながるわけなんです」(下地氏)

 他社に提供するスキルパークの研修も、社内で効果を確かめてから日の目を見る。下地氏は「お金をいただいて提供するコンテンツには、当然クオリティーが求められます。そのクオリティーを高める中で、普段自社で実践するレベルも大きく高まりました」と、社内の効果についても語る。

 オフィスを変えたいという顧客のニーズをきっかけにして、コミュニケーションの活性化や働き方改革を提案してきた同社。そこから、社内の活性化に欠かせない「マネジメント術」「会議術」「コーチング術」「プレゼンテーション術」などのノウハウが蓄積され、スキルパークが誕生した。人材育成・活性化のノウハウが蓄積され、いまでは「組織全体のコミュニケーションのあり方」「女性活躍」「ダイバーシティ時代の働き方改革」といった、多くの日本企業が抱える課題の相談も増えてきているという。

ダメ会議の原因は目的がブレているから…

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執筆=横田 直子

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