オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2018.06.25
野村克也氏といえば特徴的な采配、そして個性的なキャラクターで広く知られている。弱小球団であったヤクルトスワローズ(現・東京ヤクルトスワローズ)を3度も日本一にするなど、球界屈指の名将としてその名をとどろかせた。また、その戦い方に欠かせないものとして、「ID野球」「野村ノート」「野村再生工場」「ぼやき」といったキーワードを生み出してきた。
そんな野村氏の現役時代は、戦後初めて、捕手としてはプロ野球史上初の三冠王を獲得したことでも知られている。テスト入団というあまり期待されていないところから這い上がり、快挙を成し遂げた。球界でも数少ない名選手・名監督の1人である野村氏の指導には、ビジネスにも通じるメソッドにあふれている。
野村氏の采配について、真っ先に思い浮かぶのは「ID野球」だろう。IDとは“Important Data”を略したもので、データを重視する野球のことである。ただID野球は野村氏の野球観の一部にすぎない。野村氏が最も重視したのは、考えるプロセスである。
野村氏のいう“考えるプロセス”とは、「分析」「観察」「洞察」「判断」「記憶」のサイクルのことである。データはあくまでも「分析」するための1つの材料にすぎない。そこから、状況を「観察」し、心理状態まで「洞察」する。そこまで考えて、初めて「判断」することができ、その結果を「記憶」して次につなげる。野村流PDCAとも言い換えられるだろう。考えるプロセスを選手1人ひとりが理解し、実践することで、チームは強い組織に変わっていく。
しかし、この手法はヤクルトでは成功し、阪神ではうまくいかなかった。両チームにおいてそれまで「考える野球」に未経験だった選手に浸透させようとしたが、一方はうまく行き、一方は失敗したのである。なぜ正否は分かれたのか。
野村氏は自身の考えを浸透させるため、キャンプで毎晩ミーティングを行った。ヤクルトではこれが成功した。「こんな話が野球の実戦と何の関係があるのか」と選手たちも最初の頃はけげんな顔をしていたが、次第に野村氏の考えを理解するように変わっていったという。
もちろん、阪神タイガース時代も同じようにミーティングを行った。しかし、肝心の選手の受け取り方が異なった。ヤクルトではホワイトボードで説明し、それを選手が自分でメモを取っていたが、阪神時代は効率よく説明するためテキスト形式にして選手に配布したのが裏目に出たという。ほとんどの選手がメモを取らずに聞き流したため、考えを浸透させることができなかったのだ。
また、ヤクルトには古田敦也氏という中心選手がいたが、当時の阪神には該当する選手がいなかったのも要因の1つといえよう。
執筆=峯 英一郎(studio woofoo)
ライター・キャリア&ITコンサルタント。IT企業から独立後、キャリア開発のセミナーやコンサルティング、さまざまな分野・ポジションで活躍するビジネス・パーソンや企業を取材・執筆するなどメディア制作を行う。IT分野のコンサルティングや執筆にも注力している。
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