ケースで学ぶ職場のトラブル防止法(第7回)退職勧奨をめぐるトラブル事例

トラブル対応

公開日:2018.12.10

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 厚生労働省発表の「平成26年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、「その他の労働条件」および「その他」を除いた相談件数第5位は「退職勧奨」に関するものです。そもそも退職勧奨とは、会社が労働者に対して退職するように依頼するものであり、「辞める」「辞めない」の選択を労働者に委ねたものです。

 時々「肩たたき」という言葉を耳にしますが、簡単にいうと、これが退職勧奨です。

 解雇には厳格なルールがあり、このルールに当てはまらない解雇は認められません。一方、労働者の意思による退職には大きな縛りはありません。そこで労働者が自分から辞めるよう促すわけです。ただし、これは強制的なものではなく、労働者の意思によるものです。

 あくまでも会社は「できれば労働契約を解除していただけませんか」とお願いしているにすぎません。これを勘違いして退職勧奨を行ったときに、会社と労働者との間でトラブルが起きます。

社会通念上相当であること

 一般的には、退職勧奨自体は違法なものではありませんが、労働者の自由な意思決定を妨げる退職勧奨は許されません。具体的には、説得の回数や説得のための手段・方法が社会通念上相当であることが求められます(図表1参照)。

 その様子が強制的なものであったり、執拗なものであったりする場合は不法行為とみなされ、使用者に損害賠償責任が生じる場合もあります。

事例1 長時間にわたって脅迫まがいの説得をした
 A社は、営業成績の悪い社員Bを呼び出して退職勧奨を行いましたが、Bはこれを受け入れませんでした。そこで上司がBを執拗に呼び出しては「この会社にいつまでしがみつくつもりなのか」「辞めていただくのが筋です」「懲戒免職になったほうがいいですか」「記憶障がいとか若年性記憶障がいとかあるんじゃないですか。うちの会社での業務はあなたには無理です」などと脅迫かつBを侮蔑する説得を行いました。

 まずは退職勧奨の際に、相手を侮蔑する言葉や脅迫じみた言動を取ってはいけません。このような言動は社員の自由意思を妨げることになるからです。

 会社が社員に対して退職勧奨を行うときは、強い表現や脅迫的な表現を使うことはやめましょう。その場では、社員が退職勧奨に応じたように見えても、後々トラブルに発展する可能性が高くなります。…

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