部下のやる気に火をつける方法(第17回)表褒めと陰褒めを使い分ける

人材活用

公開日:2020.07.09

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 パフォーマンス心理学の最新の知見から、部下をやる気にする方法を紹介する連載。部下に対して効果的にメッセージを伝える方法を紹介する第7回は、表褒めと陰褒めの使い分けと、手柄を渡すことの重要性です。部下を尊重することは、上司の必要スキルですが、常に面と向かって話すだけでなく、別のルートも考えるべきです。また、時には、部下に手柄を渡し褒めることで、モチベーションアップを図りましょう。

部下の感情にまで届くメッセージ発信の技術(7)


陰褒めを有効に活用し、手柄を渡して褒める

 マズローの「欲求段階説(hierarchy of basic needs)」の図を見てください。一番上、人間の自己実現の欲求を果たすために重要な条件が承認・尊重の欲求です。つまり、部下が仕事で自己実現するためには上司の承認・尊重が欠かせません。

 ここで褒め方の工夫をお伝えしましょう。部下に向かって、「よく頑張ったね」とか「素晴らしい出来だね」と褒めるのは、誰でもできるストレートな方法です。褒めないよりは、はるかに素晴らしいことです。ですが、面と向かって褒めれば、言い方やタイミングによっては「お世辞じゃないか?」と敏感な部下が感じる確率が上がっていくのも事実です。

 そこで非常に有効なのは「陰褒め」です。A君が必ず話しそうなB君、C君、Dさんらに、「A君は本当に素晴らしい。企画書を書かせたら正確だし、そこに必ずクリエーティビティがあるので僕は一目置いていますよ」などと具体的な評価ポイントを言っておくのです。

 すると、何かの拍子にBさんやCさんからA君に「君の上司の山田さんがこんなふうに言っていたよ」と話が伝わります。直接褒められるよりも、第三者がそこに入ったことで話は客観性を帯び、部下は素直に喜びを感じられます。上司は部下の承認・尊重の欲求を満たす直接的、あるいは間接的な褒め方を使い分けましょう。

部下の名前を挙げて手柄を伝える…

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執筆=佐藤 綾子

パフォーマンス心理学博士。1969年信州大学教育学部卒業。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科修士課程修了。上智大学大学院博士後期課程満期修了。日本大学藝術学部教授を経て、2017年よりハリウッド大学院大学教授。国際パフォーマンス研究所代表、(一社)パフォーマンス教育協会理事長、「佐藤綾子のパフォーマンス学講座R」主宰。自己表現研究の第一人者として、首相経験者を含む54名の国会議員や累計4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブのスピーチコンサルタントとして信頼あり。「自分を伝える自己表現」をテーマにした著書は191冊、累計321万部。

【T】

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