急務!法対応(第13回)
自動車の「OBD検査」が10月からスタート。準備は万全?
公開日:2020.10.08
パフォーマンス心理学の最新の知見から、部下をやる気にする方法を紹介する連載。部下に対して効果的にメッセージを伝える方法を紹介する第10回は、米国トランプ大統領に学ぶビジョンの伝え方です。トランプ流の演説から学ぶべきは「シンプル イズ ザ ベスト」ということが挙げられます。簡潔な言葉に身ぶり手ぶりを加えることでビジョンは伝わりやすくなります。
部下の感情にまで届くメッセージ発信の技術(10)
2017年1月20日、トランプ大統領が誕生しました。彼の選挙キャンペーン中、私にはA新聞社から、ヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏のどちらが勝つかについて取材依頼が来ました。他はさておき、演説の巧みさ、明快さ、相手の感情を捉えることがうまいことにおいては、私はトランプ氏が勝つだろうと明言しました。同じコーナーで4人の識者がコメントを求められましたが、トランプ氏が圧勝するだろうと書いたのは私1人です。外れたら大変な目に遭いましたが、幸い当たりました。
政策がどうかは別として、トランプ氏はどんな人にも分かりやすい演説をします。聞き手のメリットがたった一言に凝縮され、明快です。例えば小池百合子都知事もよく使う「都民ファースト」に該当する言葉の先駆者は、トランプ氏の「アメリカファースト」です。アメリカが第一だ。誰が聞いてもよく分かります。移民がアメリカ人の職業を奪っている。自分たちの利益を盗んでいる。ついにはメキシコとの間に壁を造ろうというので、どこからどう聞いてもすぐに画像となってイメージが浮かぶのです。この分かりやすさがトランプ氏を大統領の座まで押し上げたといってもいいでしょう。
パフォーマンス心理学の立場からより具体的に見てみましょう。まず手ぶりです。右手の人さし指と親指で輪を作り手のひらを広げるOKサイン(ただし、近年は白人至上主義のシンボルとして、使用を戒める風潮が強まっている)、あるいは人さし指1本を上に上げてOKを解くサイン、この動作が16分30秒の演説中に、112回も繰り返されました。「大丈夫だよ。自分は意志が強いんだよ。絶対やるんだよ」という自信が形となって表れたのがこのサインです。
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執筆=佐藤 綾子
パフォーマンス心理学博士。1969年信州大学教育学部卒業。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科修士課程修了。上智大学大学院博士後期課程満期修了。日本大学藝術学部教授を経て、2017年よりハリウッド大学院大学教授。国際パフォーマンス研究所代表、(一社)パフォーマンス教育協会理事長、「佐藤綾子のパフォーマンス学講座R」主宰。自己表現研究の第一人者として、首相経験者を含む54名の国会議員や累計4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブのスピーチコンサルタントとして信頼あり。「自分を伝える自己表現」をテーマにした著書は191冊、累計321万部。
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部下のやる気に火をつける方法