部下のやる気に火をつける方法(第27回)「GRIT ~やり抜く力」は高い社会貢献意識から

人材活用

公開日:2021.05.12

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 パフォーマンス心理学の最新の知見から、部下をやる気にする方法を紹介する連載。どんなに苦労してもへこたれないリーダーのメンタル講座の3回目です。上の立場に立てば立つほど、大きなプレッシャーやストレスを感じることも増えるでしょう。リーダーの心を支える考え方と技法をお伝えします。

どんなに苦労してもへこたれないリーダーのメンタル講座(3)


幸福を追求する方法には2つある

 成功しているリーダーたちの話を聞くと、共通点があります。それは自分のやっていることが他の人々と深くつながり、人や社会に貢献していると考えていることです。これについては、私がパフォーマンス心理学を40年前にスタートしたときの一番の論拠でもあるアリストテレスの哲学まで遡れば、なるほどそうだろうと納得する部分があります。

 アリストテレスは、幸福を追求する方法には2つあることをいち早く指摘していました。一つが「ユーダイモニック(eudaimonic)」、すなわち内なる良い精神と調和すること。もう一つが「ヘドニック(hedonic)」で、これは利己的な目先の快楽を追求することを意味していました。

 そこで私は、パフォーマンス学の定義を、ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科で学んだ「日常生活における意図された自己表現」というものを一歩超えて、「日常生活における個の善性表現を研究するもの」として、日本での自己表現研究をスタートしたのでした。

 ここでいう善性とはアリストテレスの言葉では「万人に良きもの」のことです。つまり、自分が気分的においしいものを食べて幸せだとか、暖かい部屋にいて幸せだと思う幸せとは違い、多くの人の役に立っていると考えられる社会性のある幸福が「善きもの」です。後に哲学で「真・善・美」と集約されたのも万人に善いものでしょう。

 この考え方は多くの心理学者に受け継がれ、現代ではオックスフォード大学のM・アーガイル教授が、自分だけの勝手な幸福を「情緒的幸福(気分の幸福)」と命名し、社会とつながる幸福を「認知的幸福(社会的幸福)」と名付けています。(『幸福の心理学』誠信書房)

「人の役に立ちたい」という気持ちの強み…

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執筆=佐藤 綾子

パフォーマンス心理学博士。1969年信州大学教育学部卒業。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科修士課程修了。上智大学大学院博士後期課程満期修了。日本大学藝術学部教授を経て、2017年よりハリウッド大学院大学教授。国際パフォーマンス研究所代表、(一社)パフォーマンス教育協会理事長、「佐藤綾子のパフォーマンス学講座R」主宰。自己表現研究の第一人者として、首相経験者を含む54名の国会議員や累計4万人のビジネスリーダーやエグゼクティブのスピーチコンサルタントとして信頼あり。「自分を伝える自己表現」をテーマにした著書は191冊、累計321万部。

【T】

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