個人事業主・小さな会社の納税入門(第2回)インボイス対策(1)免税事業者は関係ない?

業務課題 資金・経費

公開日:2022.07.13

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 個人事業主や小さな会社の税務を初歩から解説する本連載ですが、今回と次回は時事的な話題として、少し先になりますが2023年10月1日から始まるインボイス制度への対応を取り上げます。インボイス制度が導入されれば、経理や税務など自社内のバックヤード業務に影響するだけでなく、売り上げにも影響する可能性があり、事前の対策が必須だからです。

 まず、今回はインボイス制度について、「自分は免税事業者だから関係ない」「来年10月のスタートだから、準備するのはまだ早過ぎる」などと思っている個人事業主や小さな会社の経営者の皆さんに、「決してそうではありませんよ」という説明をしていきたいと思います。

 まずは、その前提として消費税と免税事業者について確認しておきます。消費税は、個人事業者であれば原則として2年前、法人であれば2事業年度前の課税売上高が1000万円を超えた場合、課税事業者として、課税売り上げに係る消費税額から課税仕入れなどに係る消費税額を差し引いた残額を、税務署に納める税金のことをいいます。

 したがって、2年(2事業年度)前の課税売上高が1000万円以下の事業者は免税事業者となり、消費税の申告や納税が不要とされています。日本では、同様の税金を導入している150カ国以上の国の中で唯一、この免税事業者や消費者からの課税仕入れなどについても、仕入税額控除を認める制度となっています。

 そのため、最終消費者が負担する税金と事業者が税務署に納める税金が一致しない場合が多い現状を踏まえ、諸外国では当たり前である消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度を2023年10月1日から導入することとなっています。

 そもそも「インボイス」とは、いわゆる送り状のことですが、今回導入されるインボイス制度は、売り手側が買い手側に発行していた請求書などに、「A商品には10%、B商品には8%が課税されていますので、消費税を計算する際に消費税として〇〇円を仕入税額控除していいですよ」という証明力を持たせたものです。

 現在は、請求書などにその証明力までは持たせていませんので、消費税を納税する義務がない免税事業者が発行した請求書などであっても、帳簿と併せて保存していれば、売り上げに係る消費税額から仕入れに係る消費税額を差し引くことが可能でした。

インボイスが発行できないと取引がなくなる可能性も…

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