ビジネスコミュニケーション手法の改善(第10回)
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公開日:2021.03.31
新型コロナウイルスの影響もあり、在宅勤務やテレワークなどの働き方が一般的になってきました。これから、在宅勤務やテレワークを導入したいと考える方の中には、両者の違いがよく分からない方もいるのではないでしょうか。
今回は、在宅勤務とテレワークの違いについて解説します。併せて、在宅勤務におけるメリット・デメリット、導入時に気を付けたいポイントも紹介します。
近年、在宅勤務を導入する企業が増えていますが、テレワークとの違いは何でしょうか。ここでは、在宅勤務の概要やテレワークとの違いを紹介します。
<在宅勤務の概要>
在宅勤務とは、オフィスに出勤せずに自宅で仕事を行う業務形態をさします。2019年4月から順次施行されている働き方改革関連法や、新型コロナウイルスの感染防止のために導入する企業が増えてきました。
在宅勤務と一言でいっても、その形態はさまざまです。一切オフィスに出社することなく、完全に自宅で仕事をするケースもあれば、週に2~3日だけ出社してその他は自宅で仕事をするなど、多様な働き方を実現する手段として注目されています。
<テレワークとの違い>
在宅勤務と同じように捉えられがちなテレワークですが、一方は働き方の概念で、もう一方は働き方の形態を示す点が異なります。
テレワークはテレ(tele:離れたところ)とワーク(work:勤務)を合わせた造語で、ICTを活用して場所や時間にとらわれず、柔軟な働き方を表す言葉です。テレワークは働き方の概念で、その働き方の形態の1つとして在宅勤務が含まれます。
テレワークにおける働き方の形態には、その他にも「モバイルワーク」や「サテライトオフィス勤務」などがあります。モバイルワークは移動中の電車内やカフェなどさまざまな場所で働く形態で、サテライトオフィス勤務は所属するオフィスとは別のオフィスなどで働く形態です。
新型コロナウイルスの感染拡大が危惧される昨今では、人との接触を低減できる点が在宅勤務のメリットといえるでしょう。その他にも、存在する主なメリットと併せて、デメリットも紹介します。
<在宅勤務のメリット>
在宅勤務を導入するメリットとしては、主に次の3つが挙げられます。
・経費削減
・業務効率化
・離職率の低下
在宅勤務の導入で、経費削減の効果が期待できます。自宅で勤務することになれば、オフィス勤務時にかかっていたオフィスの電気代や印刷コスト(紙代・インク代)が削減できるからです。
また、オフィスでは同僚・上司・部下との会話や、電話・来客対応などで業務が中断される機会は少なくありません。その点、在宅勤務は基本的に1人のため、効率的に業務を進められます。業務に集中できる環境が作りやすい点はメリットの1つです。
さらに、育児や介護が必要な家庭であっても、在宅勤務であれば仕事を続けやすくなります。通勤が不要でプライベートの時間を充実させやすい点から、離職率を低下させる効果も期待できるでしょう。
<在宅勤務のデメリット>
在宅勤務におけるデメリットとしては、主に次の3つが考えられるでしょう。
・勤怠管理が煩雑になる
・コミュニケーション不足になるリスク
・セキュリティの問題
オフィスで働いているときと違い、出社・退社が目に見える状況ではありません。在宅勤務は業務時間をある程度柔軟に変更できるため、勤怠管理が煩雑になる点はデメリットでしょう。
面と向かって話ができず、コミュニケーション不足になるリスクもあります。オフィスでは直接会話ができますが、在宅勤務ではメールやチャットが主なコミュニケーション手段になります。
そのため、上司から部下への指示が的確に伝わらない、ちょっとした会話ができず孤独を感じるなど、コミュニケーション上の問題が発生する可能性が考えられるでしょう。
さらに、セキュリティの問題もあります。社内データを社外で利用するため、情報漏えいや不正アクセスなどには十分に気を付けなければなりません。
最後に、在宅勤務を導入する際に気を付けたいポイントを3つ紹介します。
<導入に関わるコスト>
在宅勤務を導入する際には、導入に関わるコストをしっかりと把握することが重要です。コストにとらわれて必要な設備を準備できないと、快適な在宅勤務は実現しません。
在宅勤務を実現するには、VPN・リモートデスクトップ・VDI・会社パソコンの持ち帰りなどが想定されます。それぞれにメリット・デメリットが存在し、コストも大きく変わるため、会社の規模や在宅勤務の目的によって選ぶべき手段が異なります。
さらに、円滑なコミュニケーションを実現するために、ビジネスチャットツールやビデオ会議ツールの導入、セキュリティ対策ソリューションの導入も必要です。
このように、導入に関わるコストは多岐にわたり発生します。費用対効果を最大化するために在宅勤務を導入する目的を明確にして、実現手段やソリューションの導入可否を検討して、導入に関わるコストを導き出しましょう。
<業務状況の可視化>
在宅勤務では、基本的に従業員の業務状況が見えません。オフィスであれば直接目で確認できますが、在宅勤務ではこまめにコミュニケーションを取ったり、業務状況を可視化するソリューションを導入したりするなどして把握する必要があります。
在宅勤務で「誰が・いつまでに・どんな業務を行っているのか」を可視化し、業務の進捗状況を把握するには従来の方法では難しいでしょう。いつでもすぐにコミュニケーションが取れる環境の構築や、業務状況をチームで共有できる環境の構築が求められます。
<情報セキュリティ対策>
在宅勤務を導入する際には、情報セキュリティ対策は必須です。オフィスでは社内ネットワークを利用するため、社内ネットワークを中心としたセキュリティ対策を行いますが、在宅勤務の場合は社内ネットワーク外で仕事を行います。
そのため、情報漏えいや不正アクセスのリスクが生じ、それらを防ぐには従来とは異なるセキュリティ対策が必要です。例えば、持ち出しパソコンの紛失・盗難による情報漏えいを防ぐために、シンクライアント端末を利用したり、リモートデスクトップにしたりして、端末にファイルを保存できなくする対策が求められます。
その他にも、社外から安全に社内ネットワークへ接続するVPNを導入する、社内ネットワークに接続する際には二段階認証やデバイス認証を用いて不正アクセス対策をする、などの対策が必要です。
近年、多くの企業が導入し始めている在宅勤務は、オフィスに出勤せずに自宅で仕事を行う勤務形態です。在宅勤務は働き方の形態の1つであり、その働き方の概念全般をテレワークと呼びます。テレワークと在宅勤務は、概念と形態という違いと覚えておくとよいでしょう。
在宅勤務は多くのメリットがある半面、デメリットも含みます。導入する際には、これらと併せて、この記事で紹介した気を付けたいポイントをチェックしながら、進めてみてはいかがでしょうか。
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※掲載している情報は、記事執筆時点のものです
執筆=太田 勇輔
ネットワークスペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト保有。インフラエンジニアとして、官公庁や銀行などのシステム更改をメインに10年従事した後、IT関連ライターとして活動中。プログラミング、ネットワーク、セキュリティなどの解説記事を中心に執筆している。
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