「VPN」とは、Virtual Private Networkの略で、通信回線上に構築する、仮想のプライベートネットワークのことです。複数拠点間やテレワーク・リモートワーク時の通信ネットワークとしてVPNを活用している企業が多いでしょう。しかし、その際に「VPNに接続できない」というトラブルに遭遇するケースも少なくありません。
まず確認すべきなのが、ネットワークの接続状況です。有線であればLANケーブルがパソコンに接続されているか、無線LANであればWi-Fiのアクセスポイントに接続されているかを確認します。
たとえLANケーブルがパソコンに差し込まれていたとしても、パソコン側のネットワーク接続設定が無効になっていたり、LANケーブルもしくは接続コネクタが故障したりしている場合は、接続できません。VPNがつながらない場合は、パソコンの設定を確認すること、他のLANケーブルを試すことが有効です。
VPNは通常のインターネット接続と同じく、IPアドレスやDNSサーバーの設定が必要です。通常はデバイス側でIPアドレスやDNSサーバーを自動取得する設定になっているケースが多いのですが、何らかの原因で手動取得に変更されていると、うまく接続できない可能性があります。
設定の確認・変更方法はOSごとに異なりますが、Windows 11であれば「設定>ネットワークとインターネット>イーサネット」から、Mac OSであれば「システム環境設定>ネットワーク」から設定の確認・変更ができます。
確認ポイント3:セキュリティツールの影響を受けていないか
セキュリティツールを新しく導入したり、バージョン更新をしたりすると、セキュリティツールの影響を受けて、VPNネットワークが遮断される恐れがあります。その場合、セキュリティツール側でVPN接続を許可する、不要なセキュリティ制御を無効にするといった設定変更が必要になります。
これ以外にもファイアウォールやプロキシサーバーの設定によって、VPN接続が遮断されることも考えられます。もしファイアウォールが原因かどうかを調べる場合は、ファイアウォールを一度無効にした状態でVPNを接続するとよいでしょう。
確認ポイント4:VPNルーターに問題がないか
VPN接続には専用のルーターが必要ですが、そのVPNルーターに不具合が生じ、接続できないケースもあります。
もしルーターに、接続状況を示すランプが搭載されているのであれば、まずは接続状況を確認し、エラーが発生しているかをチェックするとよいでしょう。その後、VPNルーターに接続されているLANケーブルを抜き差したり、VPNルーターを再起動したりすることでエラーが解消される場合があります。
それでも解決しない場合は、ルーター自体に問題がある可能性が高いため、予備のVPNルーターに交換します。
確認ポイント5:通信事業者側で問題が生じていないか
ユーザー側の問題ではなく、VPNサービスを提供している通信事業者側で何らかの問題が発生している可能性があります。例えば、通信障害が発生している場合や、定期メンテナンス、緊急メンテナンスが行われているケースです。その際には、通信事業者のWebサイトに情報が掲載されていることが多いので、一度Webサイトをチェックしてみることをおすすめします。
サポート体制が充実したVPNサービスなら、トラブル発生時も安心
VPNで接続できないトラブルが発生した際、ネットワークに詳しい担当者がいないと、問題解決に時間がかかってしまうことが考えられます。
場合によっては、本社のネットワーク管理者が現地に行って対応しなければならないケースもあります。しかし、担当者がテレワーク中だったり休暇中であったりする場合、問題が発生した拠点が遠隔地である場合は、迅速に対応するのは簡単なことではありません。
こうした管理・運用上の課題の解決に役立つのが、NTT西日本の「フレッツ・SDx」です。
「フレッツ・SDx」は、NTT西日本エリアのフレッツ 光ネクストを利用して複数拠点を接続できるサービスです。プライベートネットワーク上で特定の拠点のみと接続するため、安心できる環境で通信ネットワークを利用できます。加えて、遅延の原因となるポイントを経由しないダイレクトな拠点間通信や、OSアップデートなど特定のトラフィック量が多い通信は直接インターネットに接続するなど、遅延が発生しにくい安定したネットワークを構築しています。
「コントローラー」を使うと、本社のネットワーク管理者が各拠点のネットワーク機器の遠隔・自動設定や利用状況の可視化、分析、経路制御などを一括管理できるため、ネットワーク管理・運用の効率化および省力化が実現できます。
オプションメニューとして、NTT西日本がネットワーク機器の設定代行を遠隔で実施する「設定代行」が用意されています。ネットワークに詳しい担当者がいない拠点、通常業務が忙しくて十分な対応できない拠点でも、確実に設定や変更を行うことができます。不明点がある場合はコンサル対応が受けられるなど、サポート面も充実しています。
他にも、機器故障などのトラブル発生時も対応してもらえる「ネットワーク機器レンタルサービス」、NTT東日本拠点とのセキュアな拠点間通信を実現する「東西接続サービス」など、幅広いオプションサービスが用意されています。
まとめ
高い情報セキュリティを維持しながら安定したネットワーク接続を実現するVPNは、複数の拠点間やテレワーク・リモートワーク時の通信手段として重宝されています。
しかし、正しい接続や設定ができていなかったり、機器に不具合が発生していたりすると、突然つながらなくなることもあります。うまく接続ができないときは、今回取り上げた確認ポイントを1つずつチェックしてみることをおすすめします。
より快適で効率的なVPNの管理・運用を求めている場合は、利便性の高いサービスや自社のニーズにマッチしたサービスに切り替えるのも、ビジネスの一助となるでしょう。
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