これからのビジネスをつくるための「サービスデザイン思考」(第1回)あらゆるビジネスが「サービス化」する、ってどういうこと?

経営全般 スキルアップ

公開日:2023.02.13

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 新たなビジネス発想の方法として、世界的に注目を集める「サービスデザイン」。そのポイントは、顧客が自覚していないレベルのニーズなどに対して、顧客との共創関係の中で価値を提案し、持続的な関係を継続できる仕組みを創りだすこと。そして、自社と顧客の双方のみならず、多様なステークホルダー間で価値を共有し、循環できるビジネスを実践する点にあります。その具体的な思考方法について、本連載では『サービスデザイン思考「モノづくりから、コトづくりへ」をこえて』(NTT出版)で知られる井登友一氏が解説していきます。

はじめに:本連載を通じて皆さんと考えていきたいこと

 ビジネスの世界で以前からデザインに関心が高まっていることは、感度の高い読者の皆さんはお気づきのことかと思います。革新的な製品開発のための手法として「デザイン思考」が注目されたり、わが国の企業競争力を向上させるための取り組みとして経済産業省と特許庁が2018年に大々的に発表したマニフェストである「『デザイン経営』宣言」などは、皆さんの記憶にも新しいことでしょう。このように昨今ビジネスの領域で語られる「デザイン」は、一般的にわたしたちがデザインと聞いて思い浮かべる「色・モノ・形をつくる」ことよりも、もっと大きな範囲を意味しています。

 先に紹介した経産省・特許庁によるマニフェストでは、デザインを図1で示すような複層的な範囲を対象として捉えており、デザインが対象とするものが従来の意匠や造形のみならず、より広範囲にわたる顧客体験(UX)や製品・サービス全体の包括的な構想にまで広げられつつあります。さらには、製品・サービスのレベルすらも飛び越えて、ビジネスモデルや事業のエコシステム全体を考える経営そのものすらも、デザインが取り扱う範囲であると捉えられ始めているのです。

 

 ますます広がりを見せているデザインの役割や意味について、ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・A・サイモンは『システムの科学』(パーソナルメディア, 1999)の中で「誰もが既存の状況をより良いものに変えるためにデザインをしている」と述べています。サイモンのこの言葉を「デザインとは、現状の状況を今よりも良いものに変えていこうとする営み全般」だと捉えると、デザインという行為が、まさに企業活動そのものと重なりつつあることに気付くのではないでしょうか。

 このような潮流の中で、わたしはひとりのデザイン実務家として、より良いビジネスをつくっていくためにもっとデザインが役に立てることがあるのではないかと考え、『サービスデザイン思考「モノづくりから、コトづくりへ」をこえて』(NTT出版, 2022)という本を書きました。この本でわたしは、近年日本でも徐々に注目され始めている「サービスデザイン」という考え方を通して、さまざまな製品やサービスをたったひとりからでも今よりも良いものにしていくためのいろいろな方法論やヒントについて提案しています。

『サービスデザイン思考「モノづくりから、コトづくりへ」をこえて』(NTT出版)

 

サービスデザインってなんだ?…

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執筆=井登 友一

株式会社インフォバーン取締役副社長/デザイン・ストラテジスト。2000年前後から人間中心デザイン、UXデザインを中心としたデザイン実務家としてのキャリアを開始する。近年では、多様な領域における製品・サービスやビジネスをサービスデザインのアプローチを通してホリスティックにデザインする実務活動を行っている。また、デザイン教育およびデザイン研究の活動にも注力し、関西の大学を中心に教鞭をとる。京都大学経営管理大学院博士後期課程修了 博士(経営科学)。HCD-Net(特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構)副理事長。日本プロジェクトマネジメント協会 認定プロジェクトマネジメントスペシャリスト。

【T】

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