オフィスあるある4コマ(第11回)
チャットも会議も電話もマルチタスクを1台で
2017.02.27
「デリバティブ」という名前を聞くと、ハイリスクで危険な金融商品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
デリバティブとは、株価指数や国債、通貨、金利などを基準に価値が決まる金融派生商品のことです。確かに、中には元本以上の損失を被る金融商品もあります。その一方で、中小企業が事業で抱えるリスクを軽減したり、収益を安定させたりするための有効なツールとして活用できるものもあります。
今回は、デリバティブで失敗しない賢い利用法を考えてみます。
銀行には、「証券仲介業務」という機能があり、さまざまな金融商品を購入することが可能です。例えば、デリバティブを利用した「仕組み債」(債権とデリバティブを組み合わせることで、一般的な債権にはない特別な仕組みを持った債権)といった商品も購入できます。
社債や外国債券、投資信託といった金融商品は、いわば既製服のようなもので、購入する投資家のニーズを必ずしも細かく反映しているとはいえません。「もう少し利回りは低くてもよいから、リスクを抑えてほしい」、「リスクを覚悟で高い利益を得たい」といった細かいニーズには応えることができません。それに対し、証券仲介業務で取り扱う仕組み債は、投資家のニーズを聞きながら、債権とデリバティブを組み合わせることで、オーダーメードで作れるのです。
より具体的な例で考えてみましょう。海外から原材料を輸入し、加工して大企業に販売している中小企業のケースです。こうした中小企業では、海外からの仕入価格をできるだけ低く抑えようと努力します。その仕入れコストを大きく左右するのが、為替レートです。つまり、長期間、できるだけ安定的に米ドルを調達することは大きな意味を持ちます。
このような中小企業のニーズに対し、デリバティブを利用した商品を利用することで、リスクを回避した安定運用ができる可能性があります。
こうした目的で利用できる仕組み債として、金融業界で「フラット・ボンド」と呼ばれる商品があります。フラット・ボンドとは、二国間の金利差を利用して、金利を放棄する代わりに、スポット価格(現物取引の市場で成立する取引価格)よりも安価で外貨を調達する仕組みです。
2016年12月、ドル・円レートは日米の金利差を背景に大きく上昇しました。一時は1ドル117円台まで円安が進みましたが、この時に「フラット・ボンド」を利用しておけば、以降20年にわたり、約89円台で米ドルを調達する仕組みを構築することも可能でした。
「リバース・フローター債」という商品もあります。これはデリバティブの仕組みを利用して、市場金利が低下するほど、投資した側の受け取る金利が増えるという仕組みです。これにより、預金金利が下がった時でも、金利収入を補うことができます。
現在、デリバティブは一般企業だけでなく、学校法人や宗教法人、医療法人や社会福祉法人といった組織が利用するケースも多く見られます。公共性の高い組織は、多額の資金をできる限り低いリスクで安定的に運用したいというニーズがあり、金利が下落してもその影響をある程度回避するためにデリバティブを導入しているのです。
執筆=南部 善行(studio woofoo)
1991年、関西学院大学経済学部卒業。同年、地方銀行に入行し、長年にわたり地域に密着した経済活動を支援。支店勤務では営業統括部門の責任者として経験を積む。資産運用、税務、財務など幅広い分野の経験、知識を生かし、現在は富裕層を対象に資産運用、コンサルティング業務を行う専門部署で活躍。その他、豊富な実務経験を生かし現在は不動産、相続対策など、関連分野においてフリーのライターとして活動している。
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