金融機関を味方にすれば企業は強くなる!(第8回)大阪で「池田泉州銀行」がシェアを伸ばす

資金・経費

公開日:2017.04.28

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 大阪府ではこれまで、かつて大阪市に本店を置いていた三和銀行、住友銀行の流れをくむ三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行が圧倒的な存在感を示してきました。しかし、近年になって地域の中堅・小規模金融機関の活躍も目立つようになってきています。

 帝国データバンクが実施している「大阪府下メーンバンク調査」によると、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行の2行の大阪府内シェアは、年を追うごとに少しずつ減少してきています。これに反比例するようにシェアをじりじりと拡大しているのが、大阪市北区に本社を置く池田泉州銀行です。

 池田泉州銀行は2017年1月、金融庁が16年9月に公表した「金融仲介機能のベンチマーク」に基づき、自行の取り組みを開示しました。その内容に表れている“顧客企業を最後まで支える”という姿勢が評価されて、シェア拡大に結びついているのかもしれません。

顧客企業を最後まで支える姿勢が鮮明に

 「金融仲介機能のベンチマーク」とは、金融機関がベンチマーク(経営指標)を設定して自己評価していくもので、ここから各金融機関の経営スタンスを分析することができます。

 池田泉州銀行では、中小企業の経営支援に力点を置いてベンチマークを設定しています。まず、顧客企業を創業期・成長期・安定期・低迷期・再生期の5つのライフステージに分類して、それぞれの局面に応じた融資や支援を行うことを表明しています。2016年3月末時点で2万1391社の顧客企業を抱えていますが、既にその3割弱にあたる6296社に経営改善提案を行っています。

 中でも低迷期や再生期に位置付けられる顧客については、「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(実抜計画)」の策定支援を行っていくことを強調しています。実抜計画とは、おおむね3年以内に経営を正常化させることを目標にした計画であり、金融機関側も債権カットなどのリスクを負います。

 「金融機関は晴れの日に傘を貸して雨の日に取り上げる」という言葉もありますが、池田泉州銀行はむしろ雨の日にこそ傘を貸すのだという姿勢を鮮明にしたといえます。

経営者保証を付けない融資も増加基調…

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執筆=水野 春市

経済関連の調査活動を行うミハルリサーチの一員。主に地域の伝統産業や企業行動に関するレポートを作成している。

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